大相撲の年内すべての地方巡業中止の決定を受け、春巡業の藤沢場所(会場・藤沢市
秋葉台文化体育館、同実行委員会主催)に激震が走った。開催予定日の4月9日に向け
準備が大詰めを迎えていたためだ。折しも今回は第20回の記念場所。「払い戻しだけでなく、
問題は山積。開催したい気持ちは大きいが、一方で角界の再生も心から願っている」と
関係者の心境は複雑だ。
「本当に衝撃。まさかこんなことになるとは」。この20年間、藤沢場所の実行委員長を務めて
きた最上重夫さんは言葉を詰まらせた。
本場所中止の一報を聞いたときも、藤沢場所は地元で開催の可否を決められる可能性
があると信じ「地方巡業でにぎわいを見せて、相撲ファンは根強いというところを打ち出したかった」。
落胆するファンの心境もさることながら、主催者側は実害も免れない見通しだ。
既に6千席余りのチケットは8割以上が売却済み。横断幕は湘南地区の駅前など35カ所に
掲げられ、ポスターに至っては5千枚も張り出されている。
観客が持ち帰ることができる座布団約5千枚には20回記念大会の文字が入り、中国で既に
製作が始まっているという。湯飲みや大皿などの陶器類も発注済みだ。「開催予定の2カ月後
に向け、準備が順調に進んでいたところ。どれだけキャンセルできるか」と今後の対応に頭を抱えている。
ただ「こちらにはまったく非がない。不祥事を起こしたのは日本相撲協会側。損失は負担してもらう
ほかない」としている。7日午後にも実行委員会で対応策を検討する方針だ。
また、第5回の横浜場所を計画していたNPO法人「ヨコハマ未来地図づくり100人委員会」
の専務理事・吉田邦雄さんも、全地方巡業中止の報に言葉をなくした。
昨年10月の第4回場所(横浜文化体育館)は、野球賭博問題に揺れ、例年の3分の2ほどに
観客を減らしていた。今年こそはと思っていた矢先だった。
100人委員会が毎年用意している「満員御礼」の幕はまだ一度も、お披露目できていない。
次こそという、熱い思いは今年もついえた。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1102070012/ JR藤沢駅前に掲げられた大相撲藤沢場所の横断幕=藤沢市南藤沢
http://news.kanaloco.jp/common/user/news/photo/1/110207/7_004440.jpeg