郵政民営化委員会の田中直毅委員長は4日、経営が悪化している郵便事業会社(JP日本郵便)について
「路線ごとの利益を把握していなかったJALに似ており、危機的な状況だ」と述べ、経営破綻(はたん)した
日本航空になぞらえて早急な経営立て直しが必要だとの認識を示した。
郵政民営化の進み具合を点検する委員会はこの日、赤字の一因となった昨年7月の「ゆうパック」統合と
遅配問題に対して日本郵便がまとめた経営改善策について、所管する総務省から状況を聴いた。
田中氏によると、委員からは月ごとの荷物数や売り上げなどの業績の把握や情報開示が同業他社に比べて
不十分、との指摘が相次いだ。
10年3月末に2269億円だった同社の自己資本が9月末に1676億円と、約600億円減少していることも
問題視され、「債務超過に陥るおそれもある」との懸念が出たといい、宅配便事業からの撤退を検討すべきだ、
との意見も出た。総務省に対しても「国民の資産が損なわれているのに、株主である国は国民に代わって
厳しく監督する努力を払っていない」として、監督責任を問う声が上がった。
田中氏は「実績が伴わなければ経営責任が問われる」とし、次回以降、同社の経営陣から事情を聴く考えを示した。
http://www.asahi.com/business/update/0204/TKY201102040506.html