鳥インフルエンザが広がり、消毒・防疫用の消石灰の需要が急増している。発生
した養鶏場や殺処分された鶏の埋却地に散布するほか、宮崎県や鹿児島県では
道路の消毒ポイントや建物の出入り口にまいたり、他県でも自治体やJAが水際
作戦として養鶏農家に無料で配布したりしているためだ。
消石灰は殺菌効果があり、家畜伝染病予防法施行規則が消毒法として示している。
製造大手の宇部マテリアルズ(山口県宇部市)では、宮崎県で1例目の鳥インフル
エンザが判明した22日以降、発注が急増。工場は1日に1袋20キロの消石灰を
3500袋(70トン)生産できるが「製造したらすぐに出荷する。休日返上で袋詰めを
している」という。
国内を代表する石灰産地である大分県津久見市の丸京石灰によると、従来は肥料
や食品用などに決まった時期に決まった量を出荷していたが、宮崎県で家畜伝染病
「口蹄疫(こうていえき)」の被害が拡大した昨年は九州内での生産が追いつかなくなり、
北海道や四国の産地から運搬した時期もあったという。
現時点では在庫はあるが、自治体や大規模農家からの問い合わせが増えており、
工場をフル操業中。鳥越宣宏・事業統括部長は「もともと利益は少ないが、感染拡大
を防ぐ社会貢献と捉えて、採算ラインを超えてでも出荷する」と話した。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/224242 鳥インフルエンザが発生した養鶏場に運び込まれた消石灰。路面にもまかれ、雪が積もったように白く覆われていた
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