愛知県豊橋市の鳥インフルエンザに感染した鶏が見つかった養鶏場の幹部の男性が29日、
本紙の取材に応じ、養鶏場では当初、鶏の死因を鳥インフルエンザと思わず、症状が似た
伝染病「ニューカッスル病」とみていたと明かした。
感染が判明し「加害者になってしまい、悔しい。涙が出る」と心情を語った。
男性によると、23日は鶏舎に異常はなく、24日に死んだ鶏120羽と衰弱した50羽が見つかった。
25日も120羽に異常があり、獣医師に依頼して死んだ5羽を解剖し、この時点で死因は腸の腫瘍
などと診断された。ただ、獣医師が勤務する会社は「(獣医師は)大量死が続くようなら、県に連絡する
ようにと伝えた」という。
男性は「鶏はまぶたが腫れたり、鼻水が出ていた。ニューカッスル病だと思った」と振り返る。
ところが、26日朝、さらに150羽が死に「さすがにおかしいと思い、県の保健衛生所に来てもらった」という。
感染に信じられない様子の男性は「鳥インフルエンザでなければ、被害はうちの会社だけで済んだ。
周辺農家にはご迷惑を掛け、申し訳ない」と言葉を詰まらせた。
発生農場で鶏の大量死が始まってから3日目に県に通報した。京都産業大の大槻公一
鳥インフルエンザ研究センター長は「この時期の大量死は鳥インフルエンザを疑い、
すぐに通報すべきだった」。岐阜大の福士秀人教授(獣医微生物学)は「症状だけでの判別は
獣医師でも難しい」と指摘する。
飼育農家からは「この地域では30年ほど前、ニューカッスル病が流行した。鳥インフルエンザは
大半の農家が経験していないから、分かりにくい」と同情する声も出ている。
ソース
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011013090092001.html