★スマートフォンでIT特需 4〜12月、東芝など最高益 半導体・液晶パネル・コンテンツ…波及広く
スマートフォン(高機能携帯電話)など新携帯情報端末の世界需要の拡大が、国内関連企業の収益を
底上げしている。東芝の2010年4〜12月期の連結営業利益が過去最高となった見込みなのをはじめ、
関連する製造・サービス業で大幅増益となる企業が相次いでいる。スマートフォンの世界販売は今年
初めてパソコンを抜く見通し。企業業績への波及効果も広がりそうだ。
米調査会社IDCによると、10年の世界のスマートフォンの出荷台数は約2億9300万台と前年比7割
強増えた。パソコンも3億台強と1割強増えたが、11年はスマートフォン市場がさらに4割程度拡大し、
パソコンの出荷台数を超えるのは確実とみられる。「iPad」(アイパッド)などのタブレット端末を含め、
新携帯情報端末が世界の消費者向けIT(情報技術)市場の拡大をけん引する構図が鮮明だ。
東芝では「iPhone」(アイフォーン)や「iPad」を拡販する米アップルなどから、半導体フラッシュメモリーや
中小型液晶パネルなどの引き合いが旺盛。4〜12月期の連結営業利益(米国会計基準)は1400億円程度と、
前年同期の129億円から大幅に増えたようだ。四半期決算を始めた02年3月期以降、4〜12月期としては
過去最高。需要増に対応し、石川県での液晶部品の工場建設も決めた。
関連する部材や機器を扱う企業の収益も伸びている。液晶パネルに使う偏光板保護フィルムを手掛ける
富士フイルムホールディングスでは在庫調整が一巡し、「受注は想定以上」(高橋俊雄最高財務責任者)。
半導体などの製造で使う機器などを扱うリンテックも、4〜12月期の連結営業利益が過去最高だったもよう。
回路基板の保護用インキを製造する太陽ホールディングスも同期間の連結営業利益が4割増えたようだ。
通信業界では、「iPhone」の販売が好調なソフトバンクの4〜12月期の連結営業利益が、データ通信収入の
増加で前年同期比3割増の4700億円程度とやはり過去最高だったようだ。11年3月期通期の営業利益見通しも
引き上げる可能性が高い。NTTドコモ、KDDIもスマートフォンへのシフトを進めている。
コンテンツ産業にも恩恵が広がりつつある。携帯コンテンツ運営のエムティーアイはスマートフォン向け音楽
配信サイトなどの有料会員が急増。「既存の携帯電話と同様の収益源に育つ可能性が見えてきた」(前多俊宏
社長)という。
ただ今後は、国内外を含めた競合が厳しくなり、日本企業にとっては部品、端末とも開発力など競争力の維持・
向上策が課題になりそうだ。
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819596E0EBE2E2988DE0EBE2E3E0E2E3E39F9FEAE2E2E2