徳島県は、災害発生時に被災情報を県や市町村、医療機関、消防などが共有できる全国でも
画期的な「災害時情報共有システム(仮称)」の構築を進めている。
県の防災サービス「すだちくんメール」を応用し、市町村職員らが携帯電話から入力した情報
を県が一元管理することで、初動段階での迅速な情報伝達を行い効果的な救援活動につなげる
のが目的。2011年度から試験運用を始め、12年春の本格導入を目指す。
情報共有システムは、今後30年以内の発生確率が60%程度と予測される南海地震への対応
などを想定。すだちくんメールに登録した市町村職員や医療関係者らが管内の災害地点と災害
の種類、避難勧告・指示といった被災情報や病院の受け入れ態勢などを携帯電話やパソコンで
随時送信。県庁や市町村庁舎、病院などのパソコンで表示される管理画面で、県内全域の被災
状況が確認できる。
被災情報は送信するたびに自動更新されるため管理画面には常に最新の被災地の状況が表示される。
一部情報は報道機関と共有することも検討している。
すだちくんメールのIDとパスワードがあれば、他人の携帯電話からでも被災情報を送れる。管理
画面も特定のIDなどを入力すれば別のパソコンでも確認できるため、市町村庁舎が倒壊して仮設
の災害対策本部を設けた場合でも、迅速な情報収集が可能となる。
県と市町村は災害が発生した際、被災情報を市町村の防災担当職員がまとめて県にファクスや電話
電子メールで送り、県が全県の状況を整理している。システムの導入で情報を整理する手間が大幅
に軽減でき、伝達も速やかに行える。
17日に県などが実施した図上訓練では、市町村も参加してシステムの操作手順などを初めて確認した。
現時点では県と市町村だけを接続しているが、11年度中に医療機関や消防のほか、電力や水道などライ
フライン関係事業者も参画。台風や洪水などの災害時に運用し、本格導入に向けて問題点を改善する。
県南海地震防災課は「災害に強い徳島となるように、有効なシステムを作りたい」と話している。
▽徳島新聞(2011/1/29 10:18)
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2011/01/2011_129626390538.html