滋賀県文化財保護協会は26日、大津市関津3丁目の関津城(せきのつじょう)遺跡から
戦国時代後半(16世紀後半)の山城の主郭(天守)跡が出土した、と発表した。
前面に高い防御壁を築くなど、高度な計画性と土木技術があったことを示す一方、
建物周辺からは土器など生活雑器も出土しており、戦闘に備えた性格が強いと
されたきた戦国期の山城像を変える調査として注目される。
関津城は近江国の守護大名・佐々木六角氏の家臣で在地土豪の宇野氏の居城とされる。
これまでに同時期としてはきわめて珍しい土蔵跡や高い防御機能を備えた城の入り口などが見つかった。
新たに主郭とみられる遺構は標高118メートルにある山城部分で見つかった。面積は約169平方メートル。
主郭跡の周辺からは高さ二メートルの土塁や出入り口、門の跡、柱穴跡や礎石などを発掘。
周辺からは土師(はじ)器の皿や陶磁器などが出土した。
同協会によると、戦国期の城の内部構造が発掘で明らかになったのは初めて。柱穴や礎石の位置から
主郭は物見やぐらや舞台、高楼のような建物で儀礼としても活用されたことが推測されるという。
村田修三・大阪大名誉教授(城郭史研究)は「土蔵に豊かな食料が蓄えられていたことも含め、
城郭概念の問い直しを迫る発掘」と指摘している。
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20110126000132 関津城跡遺跡の主郭部分。高い計画性と土木技術が存在したことを示す
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