バージニア大学のナショナル・マリッジ・プロジェクト(NMP)
が最近発表したリポート「結婚が消える時:ミドル・アメリカの結
婚からの撤退」は、高学歴と中程度の学歴を持つ米国人の間で生じ
ている「結婚格差」の問題を探っている。(このリポート以前には、
タイム誌とピュー・リサーチ・センターによる共同調査が行われ、
40%近くの米国人が結婚は古いと考えているとの結果が示された。)
NMPの調査結果のなかでも最も驚かされるのは、高学歴(大学卒
業)の米国人の間で結婚制度がますます盤石になっていると思われ
るのに対し、中程度の学歴(高校卒業)者は「結婚に対する信頼を
失い」、結婚の「結びつきの質が低下」している、とプロジェクト・
ディレクターのW・ブラッドフォード・ウィルコックス教授は言う。
非嫡出子や離婚の比率は、高卒よりも大卒の方が少ない。
では、未婚者にとって何が問題なのか?ウィルコックス教授によると、
出産と結婚の「交差」が問題なのだという。近年、平均結婚年齢は
じりじりと上昇を続けているが、出産年齢はそうではない。非嫡出
子が増える一方で、未婚カップルは同棲を解消するかもしれない―
―この状況について、ウィルコックス教授は「子どもにとって危険
な状態となり得る」と指摘する。
昔、結婚と子供を設けることは、大人の仲間入りを意味していた。
しかし、今や結婚は、教育の目標やキャリアを形成した後に得る
「頂点のようなもの」だと教授は言う。
リポートによると、結婚前に同棲する女性は全般的に増えている。
しかし、高学歴女性の55%は避妊を行っており、中学歴(35%)、
低学歴(19%)よりその比率は高い。
一方、中程度の学歴の世帯は、高学歴よりも非嫡出子を設ける比率
がかなり高まる。2000年代後半、高学歴者の非嫡出子の比率はわず
か6%だったのに対し、中程度の学歴の母親から非嫡出子が生まれ
た比率は44%、低学歴は54%だった。また、両親とともに暮らして
いる14歳の女の子の割合は、高学歴の母親を持つ場合が81%に対し、
中程度の学歴では58%、低学歴では52%だった。リポートには、国
立健康統計センターと総合社会動向調査の統計が利用されている。
多くの評論家がこういった調査結果の意味についてすでに論じ、結
婚制度の存続性や「文化戦争(culture war)」に対する影響につ
いて分析している。(ニューヨーク・タイムズのコラムニストは、
「高学歴のアメリカ人は、文化的にはリベラルながらも古き良きア
メリカを象徴する理想的な核家族で暮らす。一方、ミドル・アメリカ
は伝統的な価値を守りつつも、思うようにはいかない」と書いている)
最近のニューヨーク・タイムズの記事によると、フランスでは、結
婚を避け、シビル・ユニオン(連帯市民協約)を選ぶ若いカップル
が増えている。読者はこのような流れをどう考えるか。
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_162215