県内ではこれまで確認されていなかった昆虫が、各地で見つかっていることが、5日までに福島虫の会の
調べで分かった。今年、相馬市では、県内で初めて熱帯地方を原産とする南方系のトンボ「ハネビロトンボ」
が採集された。また昨年は、亜熱帯が原産でこれまで関東以南が生息域とされた「ナガサキアゲハ」が県内で
初めて伊達市で採集された。南方系昆虫の北上は、地球温暖化の影響ともいわれるが、農作物を食害する種や
外来種の侵入もあり、害虫防除や生態系の面からも注目されている。
先月下旬、福島市の同虫の会員の高橋淳志さん(19)は、相馬市の池で県内で初めてハネビロトンボを
採集した。ハネビロトンボは、四国や九州の南部、南西諸島、小笠原諸島に分布。本県以北でも記録はあるが、
風で飛ばされたなどによる“迷トンボ”として記録されている。しかし、今回は複数の個体が確認された
だけでなく、同じ池で羽化も確認されたことから、この夏飛来した個体の次世代と考えられるという。
チョウの北上も著しい。かつて、国内での生息域は九州以南だったナガサキアゲハは戦後、世代交代を続け
ながら北上し続け、昨年は本県の伊達市でも採集された。かつて、本州南西部が生息域だったツマグロヒョウ
モンは、今では中通りで普通に見られるようになり、福島市では越冬も確認された。
(2010年10月6日 福島民友ニュース)
http://www.minyu-net.com/news/news/1006/news8.html