さくら市押上の郷土史研究グループ「押上水神会」が、社会貢献を続けている高齢者らを紹介する内閣府の
「2010年度エイジレス・ライフ実践者及び社会参加活動事例」に県内で唯一選ばれた。
地域に残る絶滅危惧(きぐ)植物の保護活動などが評価されたといい、同会世話人の長島久伸さん(78)は
「郷土の良さを次世代に受け継いでいきたい」と意気盛んだ。
内閣府は毎年度、高齢世代の生き方の参考になる個人と団体を選び、広く紹介している。
今回は全国から百八十一件の推薦があり、個人六十件、団体四十三件が選出された。
押上水神会は〇五年、押上地区に伝わる古文書の勉強会として発足。
同地区に住む六十五〜八十七歳の男女約四十人が参加している。
長島さんによると、鬼怒川に面して土地が肥沃(ひよく)な同地区は古くから農業が盛んで、江戸時代には交通の要衝として知られた。
同会は「地域の大切な歴史を風化させないよう記録していこう」と、周辺の古道を歩いて冊子にまとめたり、
室町時代から平成まで使われていた農業用水路の顕彰碑を建立するなどしてきた。
一昨年からは同地区の鬼怒川河川敷で、外来植物の繁茂によって駆逐されつつあった絶滅危惧種「カワラノギク」の保護活動をスタート。
昔の美しい風景を取り戻そうと、メンバーが毎日のように外来植物の抜き取り作業に汗を流した。
カワラノギクの生育範囲は六千七百平方メートルにまで広がり、全国でも最大級の自生地になった。
十月の開花期を前に、地元住民を招く観賞会も企画しているという長島さん。
「お年寄りの生きがいとして楽しくやってきた活動。今後も続けていきたい」と元気いっぱいに笑った。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20100928/CK2010092802000088.html http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20100928/images/PK2010092802100034_size0.jpg (東京新聞)