鈴鹿市で4月に起こった男児虐待事件を検証する外部有識者による県の検証委員会が27日、
野呂昭彦知事に報告書を提出した。
虐待情報の精査や担当機関を明確にする必要性を指摘した。県議会は同日、
子どもを虐待から守るための決議案を10月に発議することを決めた。
検証委員会の報告書では、行政関係者の情報共有などが不十分で、
児童を一時保護するなど適切な判断ができなかったと指摘した。
虐待情報が寄せられるようになった1月以降、管轄の北勢児童相談所(児相)の対応については
「受け身で情報を記録、査定するだけではなく、安全確認のために行動する必要があった」と分析。
児童虐待防止法では知事が保護者に出頭を求めることができるが、今回のケースも「出頭要求が可能だった」とした。
こうした権限行使に踏み切らなかったことについては、
「保護と援助を同一機関が担う現状が、判断を迷わせた可能性がある」とした。
また、関係者が虐待情報を共有するため、県が2008年につくった情報管理システムは、
北勢児相が多忙で入力を滞らせ、機能していなかったと指摘。
五つの児相を統括する児童相談センターも、支援ができなかったとした。
委員長の清水将之・関西国際大学教授は「個別情報は集まっていたが全体をつかむことができていなかった。
情報を読み取る技法を市町も児相も一緒に磨いてほしい」と話した。
報告書を受け取った野呂知事は「今後どのように体制を構築していくか、しっかり検討する」と述べ、
今年中にケースワーカーらのロールプレーを取り入れた研修を実施する方針だ。
http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001009280001 (朝日新聞)
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(つづき)
■虐待から守る決議案 県議会が来月発議
県議会は、議員提出条例に係る検証検討会(座長・西塚宗郎県議)で発議を決めた。
決議案は、県の市町への支援や連携などの責任を明確化し、県、市町、NPOなどの民間団体や県民が、
子どもを虐待から守るため、財政面や人的な面で措置をとることを強調している。
2004年に議員提案で制定された「子どもを虐待から守る条例」については、3月に検証検討会がスタート。
改正を巡って議論したが、改正は見送り、決議案の形となった。
■検証委員会が指摘した改善ポイント
・情報伝達は、目的や情報の重要性を明確にする
・危機的な事例について関係者会議を早期に、頻繁に開く
・事例に対応する担当者をあいまいにしない
・被害者の児童の兄弟の虐待被害も視野に入れる
・児童虐待対応の職員研修を充実させる
◎鈴鹿市の男児虐待事件
今年4月22日、鈴鹿市の小学1年の男児(6)が自宅の布団の中で意識不明の状態で発見された。
母の内縁の夫(25)が、前日に男児を足払いしたり投げ飛ばしたりしたとして傷害容疑で逮捕。
津地裁は「しつけの名を借りた虐待というほかはない」と指摘し、懲役4年6カ月(求刑6年)の有罪判決を言い渡した。
http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001009280001 (おわり)