◆イラン、中国から放射性同位体を密かに輸入 核開発に転用疑惑
核開発疑惑を持たれるイランが、中国からがん治療用の放射性同位体の輸入をひそかに進めていることが分かった。イランの核
問題に詳しい情報筋が29日までに明らかにした。イランはテヘランにある研究炉で放射性同位体の生産を行っており、中国からの
多量輸入は、研究炉を医療用ではなく核開発目的に転用するためではないか−との新たな疑惑を生んでいる。
情報筋によると、イランの代表団が今年前半に訪中し、中国側は6カ月間にわたり週約1万5千ギガベクレルのペースで放射性同
位体を提供することで合意したという。同筋は「合意に違法性はまったくないが、イラン側は中国側に公表しないよう要請した」と指
摘する。
情報筋はイラン側が取引を公表したくない理由として、医療目的の放射性同位体生産施設としてのテヘラン研究炉(TRR)をめぐ
る国際社会との合意を挙げる。イランは5月にトルコとブラジルとの間で、自国で製造した濃縮度5%未満の低濃縮ウラン1200キ
ロをトルコに搬出し、TRR用のウラン燃料120キロと交換することで合意した。
それだけに放射性同位体の輸入が公表されれば、TRRの真の目的は放射性同位体の生産ではなく、ウランを20%までに濃縮
するために、ウラン燃料を手に入れることではないか−との疑念を生むことになる。
イランは1967年に米国からテヘランの研究炉を提供された。その後、アルゼンチンの協力で20%の低濃縮ウランが使用されて
きた。制裁の影響で在庫が尽きてしまうため、イラン側は国際原子力機関(IAEA)に新たなウラン燃料の供給を求めていた。
在日イラン大使館では「合意についての情報がないため特にコメントすることはない」としている。
■放射性同位体 原子番号が同じで質量が異なる原子核を持つ元素を同位体と呼ぶ。ある元素の同位体で相互作用により放射
性崩壊を行うのが放射性同位体(ラジオアイソトープ)。がん治療ではコバルト60ガンマ線などを用いる。
ソース:産経ニュース(産経新聞) 2010/08/30 01:10
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/100830/mds1008300111000-n1.htm