半導体世界大手のインテルが、セキュリティーソフトウェア大手の米マカフィーを77億ドルで買収する計画を発表した。
両社の合併は財務的には帳尻が合っても、技術的には困難が予想される。
予想外とも思える買収だが、インテルは以前から、セキュリティーを最優先課題の1つとして挙げていた。
しかし現在のようなセキュリティ各社との提携で十分とも思える中、なぜ買収が必要なのかとの疑問は残る。
インテル経営陣は19日午前、投資家向けの電話説明会を開いたが、この疑問に対する答えはほとんどなかった。
買収によって「ハードウェアとソフトウェアの親和性と一体性が深まる」などと繰り返すばかりだった。
こうした中、オッテリーニ最高経営責任者(CEO)の「インテル株主にとっての価値」という発言には意味がありそうだ。
インテルには178億ドルの手元資金があるが、配当金に回したいと同社が思える額はそのうちのわずかだ。
また既存事業に投資しようにも、PC需要の落ち込みを理由にアナリストから株を格下げされるなど、本業も低迷している。
こうした状況の中、インテルは株主還元策につながると判断した企業の買収に踏み切った可能性はある。
多くのアナリストはインテルがマカフィー株の18日の終値に対して60%のプレミアムを上乗せしたことを疑問視したが、
その一方で、マカフィーの買収には投資に見合うだけの価値があるとするアナリストもいる。
ソフトウェアは一般的に利幅がハードウェアより大きく、マカフィーの利益率75%に対し、インテルは約55%。
インテルがセキュリティ企業の買収を考えた場合、マカフィーは最善の選択だったといえそうだ。
市場シェアでマカフィーを上回るシマンテックは取り込むには大きすぎ、トレンドマイクロはシェアが低迷。
他社はほとんどが大企業向けの製品を手掛けている。
あるアナリストは「マカフィーが最も買収に適した会社だ。
シマンテックに対して善戦しているし、巨大過ぎない、適度な大きさの会社であると言える。
また企業向けから消費者向けに至るまでの製品ラインアップをそろえている」と評価する。
しかし、財務的な観点からは評価できても、より包括的な視点からみて買収を疑問視する人もいる。
インテルは、大手ソフトウェア企業をハードウェア事業にどう組み込むか、
マカフィーと競合する製品を使っているインテル顧客の懸念にどう対応するかを考えなければならない。
「この買収の理由の1つに資本コストがあるのではないかと思っている。
しかしうまく事業を遂行できなければ良い経営判断とはいえない」とアナリストは話している。
ソース CNN 2010.08.20 12:00
http://www.cnn.co.jp/business/AIC201008200009.html