2008年度に子どもへの性的虐待を疑った小中高校や幼稚園の教員33人のうち、半数は「確証がない」などと
児童相談所に通報をしていなかったことが、厚生労働省研究班の調査で分かった。児童虐待防止法は確証が
なくても通報を義務づけている。研究班は「学校だけで解決しようとせず、児童相談所と連携して欲しい」と指摘
している。
性的虐待は、性器や性交を見せることや、ポルノの被写体にすることも含まれる。外見から被害を確認しにくい。
研究班の玉井邦夫大正大学教授(臨床心理学)らは、学校・幼稚園を対象に現状を調べた。09年2〜3月に
全国の教員約1万7130人にアンケートし、回答があった3734人を分析した。
08年度に児童・生徒の性的虐待に対応したと答えたのは33人。気づいたきっかけは「子どもから直接聞いた」
「被害を受けた子の友達から聞いた」などだった。33人のうち16人は児童相談所に通報しなかったと答えた。
理由は「確証がない」が9人と最多で、「子どもや家族が拒否した」「学校で対応できる」などと続いた。
04年の児童虐待防止法改正で、虐待が疑われるだけでも通報を義務づけ、文部科学省は確証がなくても虐待を
通報するよう、都道府県の教育委員会へ通知している。
玉井教授は「学校だけで被害を確認し解決しようとすると子どもの心を傷つけたり、家族との関係がこじれたり
しかねない。学外の専門家を交えて対応すべきだ」という。
厚労省によると、08年度に全国の児童相談所に約4万2600件の児童虐待に関する相談があり、このうち、
性的虐待は1324件。相談経路は学校・幼稚園からが240件だった。(杉本崇)
ソース: 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0813/TKY201008130219.html