◆米空母派遣、事前連絡なし 韓国国防相、訪中を再調整
【ソウル=牧野愛博】米国が海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンを黄海での米韓合同軍事演習に参加させる方針を決め
た問題で、韓国政府が事前に米国から外交チャンネルを通じた連絡を受けていなかったことが明らかになった。金泰栄(キ
ム・テヨン)国防相が今月、訪中を予定していたが、米国の発表を受けて急きょ計画の再調整を始めた。
複数の韓国政府関係者によれば、米国からは同空母の黄海派遣を巡る詳しい背景説明も受けていないという。韓国軍当局
者は6日、「現在まで具体的な時期や場所は決まっていない」と語った。
韓国政府は金国防相が8月中に中国を訪れ、梁光烈国防相と韓国哨戒艦沈没事件後の中韓軍事関係などを協議する方
向で調整していたが、計画の練り直しを始めた。詳しい経緯は不明だが、黄海での米韓合同演習への米空母参加に反発す
る中国の姿勢が影響したという。
韓国政府関係者の一人は「今回の空母派遣は、沈没事件を受けた措置とは無関係のようだ」と語り、対イラン制裁や南シ
ナ海の領有権問題も含めた米中関係の緊張が原因との見方を示した。別の関係者も「空母派遣は具体的な計画段階の話で
はない」と述べ、中国に対する米国の牽制(けんせい)との考えを示した。
韓国政府は元々、同空母の黄海派遣を強く希望。金国防相が5月の記者会見で「空母参加」を明言したが、米国が中国に
配慮し、7月に日本海で実施した演習に同空母を参加させた経緯がある。
韓国の専門家からは「韓国内の世論が落ち着き始めた矢先に、再び中国を刺激する展開は理解に苦しむ」と懸念する声も
出ている。
ソース:asahi.com(朝日新聞) 2010/08/10 07:27
http://www.asahi.com/international/update/0808/TKY201008080004.html