◆【異論暴論】正論9月号 今こそ国家の根本を立て直せ
大胆に提示する羅針盤
「民主大敗・自民勝利」となった7月の参院選について評論家の日下公人氏は、民主党の目的が日本国を壊すことなのか、
それとも壊れないと安心して党利党略を優先することなのか、その政策に国民が不安を感じた結果と分析。自民党の勝利も
民主党の「オウンゴール」だったと手厳しい。その上で、衆参のねじれによって当面政治のダイナミズムは失われるが、「国家
の根本的な危機について真剣に討議する千載一遇の好機としてほしい」と訴える。
たとえば在日米軍普天間基地の移設問題が浮き彫りにした国の安全保障について、自民党は「日米安保安住と独立置き
去り」、民主党は「情緒的な反米と無警戒な中国傾斜」でしかなく、どちらも日本の独立回復という戦後の課題に取り組む見
識と意欲があったとはいえないと批判する。
自民党にも民主党にも「めざすべき国家像」がないために、その政策論議は議員個々のイデオロギー的満足の追求か、パ
ン(ばらまき)とサーカス(事業仕分けなどのパフォーマンス)の競い合いに流され、「国家としての根本」はどうあるべきかとい
う視点が抜け落ちてしまっているという。
歴史的につむいできた日本人の価値観や力をどう未来に展開していくか。そのための羅針盤はどこにあるか。日下氏は個
別の政策論議から離れ、長い歴史の射程から日本が「近代」を受容した経過を振り返りつつ、日本人自らが培った「暗黙智
(あんもくち)」の力を説く。「国際化」という言葉に翻弄(ほんろう)されてきた戦後日本人にとって、まさに根本の立て直しを問
うものだ。(上島嘉郎)
ソース:産経ニュース(産経新聞) 2010/08/03 07:30
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100803/stt1008030732000-n1.htm