【政治】河村たかし市長、「トリプル選」視野 名古屋市議会の解散署名を27日開始 

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議会解散請求―名古屋市長の強引な問い

 名古屋市議会の解散を求める直接請求の署名が明日から始まる。河村たかし市長が、昨春の市長選で
最大の公約だった市民税の恒久減税が認められなかったために呼び掛けた。大都市では例がない直接請求だ。
 改革を唱えて当選した首長と議会とのぎくしゃくした関係はほかにもある。河村氏がどれだけ議会を
説得する努力をしたのかは疑問がある。しかも、この制度はそもそも住民の発意を前提としたもので、
首長が旗を振るような使い方は想定していない。とはいえ、分権改革の中で首長と議会のあり方を考え
直す契機ではある。
 1カ月で有権者180万人中36万人余の署名を集めれば、住民投票が行われる。そこで過半数が
賛成すれば議会が解散され、出直し市議選となる。
 河村氏は、市議選を来年2月の知事選にぶつけたい意向だ。しかも自分も辞職して市長選も同時に行い、
一気に自分に有利な態勢をつくる腹づもりのようだ。もともと任期満了に伴い4月に行うはずの市議選を
2カ月早めるために解散を求めることは乱暴すぎるとの批判も強い。
 河村氏が恒久減税を提案したのは、それをてこに行政改革を進めたいからだ。ところが市議会は、福祉予算
へのしわ寄せなどを理由に減税を1年限りに修正した。そうならば、減税に絞って住民投票を提案する方法も
あったのではないか。
 それでも、すでに4万人が署名集めに手を挙げているという。議会不信はそれほど根深いということである。
 河村市長より前の28年間、市議会は共産党を除くオール与党態勢だった。議会は市幹部を市長に担ぎ、
行政を追認するなれ合いを続けてきた。
 その間、製造業が好調で元気なナゴヤと言われた時期がありながら、市債残高は一般会計の2倍近い1兆
8千億円に膨れ上がった。河村氏が昨年指摘するまで市議会は、市幹部が関連団体に天下りする慣行を黙認
し続けた。
 市議の報酬は全国トップクラスの年1500万円。政務調査費も年600万円ある。3月までは議会のたび
1日1万円ずつの手当を受け取っていた。
 議員らの「市長も我々も住民に選ばれている。憲法で保障された二元代表制の否定だ」との主張に、市民の
共感が広がらないのも道理である。
 そんな議会と行政の機能不全は名古屋だけの話ではない。地域政党を立ち上げた大阪府の橋下徹知事のように、
それを変えようとする動きはほかにもある。ただ議会が首長の支持者で固められればまた新たな問題も生じよう。
 首長と議会が健全な緊張関係を保つ。議会は行政をきちんと監視したうえ、政策立案の力も高めていく。その
ように地方自治を鍛えていくために、名古屋市民の判断に注目したい。

http://www.asahi.com/paper/editorial20100826.html