◇「経済浮揚につながる」
通年打ち上げ可能で、経済浮揚を−−。年間最大190日間だったロケット打ち上げ制
限期間の撤廃が調印された29日、種子島宇宙センター(南種子町)と内之浦宇宙空間
観測所(肝付町)の二つのロケット発射場を抱える「宇宙に最も近い県」の鹿児島県内
では「地元の経済浮揚につながる」と歓迎する声が聞かれた。【川島紘一、村尾哲】
県庁であった調印式には、中川正春副文科相や県漁業協同組合連合会の上野新作会長、
伊藤祐一郎知事らが出席。通年打ち上げの意義について中川副文科相は「限られた時期
にしかできない発射場は日本だけ。世界に向けて本格的に宇宙開発の態勢を整えたこと
を発信できた」と話し、商業衛星受注に向けても「大きな利点」と喜んだ。
打ち上げ時には海域が制限されるなど漁業関係者への影響が懸念されるが、上野会長は
「反対意見は出なかった。漁業補償の話はこれからだが、日本の宇宙開発に協力していく」
と円満合意をアピールした。
南種子町の名越修町長は08年11月、県宇宙開発推進協力会で打ち上げ期間の延長を
提言。「海外衛星の打ち上げに弾みがついた。たくさんの人たちに種子島を訪れてもら
い、島だけでなく県全体の経済効果に波及する。漁連の皆さんの協力に感謝したい」と
話した。
また、肝付町の永野和行町長も「(次期小型ロケットの)イプシロンが内之浦から通年
で打ち上がることになれば、観光客も増え、知名度アップにつながる」と期待した。
http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20100730ddlk46040519000c.html