金融危機ならぬ「チョコレート・クライシス」の影が世界を覆っている。原料のカカオ豆の
価格はこの30年で最高値を記録し、製菓会社はチョコレートを小さくしたり、
代替原料を使うなどの対策に追われている。カカオ豆を買い占めるヘッジファンド創業者は
スパイ映画「007」の国際的悪玉「ゴールドフィンガー」になぞらえ「チョコフィンガー」と呼ばれている。
今月中旬、ロンドンにあるカカオ豆の先物市場に衝撃が走った。英ヘッジファンド創業者の
アンソニー・ウォード氏(50)が世界の年間生産量の7%に相当する24万トンの
カカオ豆を購入した。1トン当たりの価格は2732ポンド(約37万3600円)。
生産地の干(かん)魃(ばつ)で3000ポンドの大商いとなった1977年に次ぐ
高値、しかもチョコレート菓子が50億個も製造できる量だった。同氏はカカオ豆の
供給不足を見越して昨年10月から先物を2100〜2200ポンドで買い集めた。
2年前のリーマン・ショック以来、投機マネーが流入して価格を高騰させていることに
神経をとがらせるカカオ豆加工業者やドイツの取引協会は「市場のモラルを失墜させる
相場操縦だ」と反発した。3年前、市場の投機筋は2割に過ぎなかったが、今年に入って
5割近くに達した。
英通貨ポンド安が世界の投機マネーをロンドンの商品先物市場に呼び込んでいるとの分析もある。
カカオ豆の価格を思いのままに動かし製菓会社に高値で売りつける同氏は「チョコフィンガー」と
呼ばれ始めたが、実は生産地に気象観測所まで持つ専門のカカオ豆買い付け業者だ。
*+*+ 産経ニュース 2010/07/28[19:59:49] +*+*
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/100728/mds1007281833004-n1.htm