大麻売買「興味本位で」 小倉北署 女子高生2人容疑で逮捕 捜査員「氷山の一角」
北九州市内の通信制高校に通う少女2人が乾燥大麻をやりとりし、大麻取締法違反容疑で相次いで逮捕された。小倉北署は
入手経路の捜査を進めているが、少女の1人は「興味本位だった」と供述。事件からは、安易な好奇心から薬物に手を伸ばし、
危険性への認識も薄い若者の傾向が浮かび上がってくる。
■駅トイレで譲渡
事件の発端は万引の通報だった。5月下旬、小倉北区中心部のコンビニからの連絡で駆けつけた署員は、「まさか」と目を
見張った。万引を働いたとされる少女(16)の所持品を調べると、財布から茶色や緑色の葉の紙巻きが3本見つかった。
簡易鑑定の結果、その葉は大麻だった。
少女の供述は、捜査員をさらに驚かせた。大麻の入手先は、同じ学校の同級生の少女(17)。多くの乗降客が行き交う
JR小倉駅の女性トイレで、計4500円で大麻を売買したという。2人は大麻の所持や譲渡容疑で逮捕された。
ここ数年、同署管内で中高生が大麻取締法違反で摘発されたのは、2008年に所持容疑で男子中学生が逮捕された1件
のみだった。今回、少女2人の関与が一度に発覚し、捜査関係者は「氷山の一角だろう。北九州でも水面下では大麻汚染が
進んでいるはずだ」と顔をしかめる。
■学習塾で入手も
地方都市の若者がどうやって大麻を手に入れるのか。県から薬物乱用防止講座の講師を委嘱されている行橋市の保護司
川崎洋さん(65)は「若者はいつでも大麻を手に入れられる環境にある」と指摘する。
これまでに川崎さんが受けた相談では、(1)塾に通う子どもが仲間を介して入手し、休憩時間に吸引した(2)ネット上で
「ダイエットの効果がある」という文句に引っかかって大麻に走った−などの事例が多かったという。「入手するために親の金
を盗み出し、それも限界になれば援助交際にまで手を染めるようになる」と危惧(きぐ)する。
捜査関係者によると、今回の事件も、学校で顔見知りの17歳少女が大麻を入手できることを知り、16歳少女が譲るよう
頼んだという。16歳少女の仲間内では、以前から薬物が話題に上っており、捜査幹部は「少女が大麻に対するあこがれを
持っていたようだ」と語る。
大麻草の栽培が比較的簡単にできる点も見逃せない。種はつい最近までインターネットで売買され、室内でも2メートル近く
までの背丈に育つ。01−03年には福岡市の大学生ら14人が自宅アパートや山中で栽培し、大麻取締法違反容疑で摘発
された。知識が少ない素人でも簡単に栽培できることが、まん延に拍車を掛けている。
■犯罪の入り口に
大麻が譲渡されたJR小倉駅で、少女たちと同年代の高校生や高専生10人に尋ねた。全員が事件自体を知らず、大麻に
ついても「全く関心がない」という。だが、身体にどんな作用を及ぼすかについては「よく分からない」(17歳女子)「脳が溶ける
のでは」(15歳女子)と、あいまいな答えが返ってきた。県警少年課によると、大麻を常用した場合、感情が不安定になり、
幻覚を見たり、生殖機能の異常や呼吸器疾患を招く可能性があるという。
捜査関係者は「何よりも大麻を入り口として、覚せい剤などの薬物に手を染め、犯罪に走るのが一番の不安。大麻が自分の
身を滅ぼすことを知ってほしい」と訴える。
=2010/07/19付 西日本新聞朝刊=
ソース: 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/185439 小倉北署が押収した紙巻き大麻。吸引部がストローなどで接続されたものは「ジョイント」と呼ばれる
(今回の事件とは関係ありません)
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