「がんこ、いじっかしい、だら」は、若者になじみが薄い。金大人間社会研究域(日本語学)の加藤和夫教授が
5日までに行った石川県内の方言調査で、加賀地域の特徴的な言葉が、10〜20代を中心に使われなくなっていることが分かった。
代わりに共通語や新しい方言の影響を受けた「めっちゃ」「うざい」「あほ」が台頭。
加藤教授は「共通語の侵入を防いできた『言葉の砦(とりで)』が揺らいでいる」と指摘している。
調査は、JR北陸線倶利伽羅駅〜大聖寺駅の周辺集落で実施。10〜70代を四つの世代に分け、
日常生活で使う語彙(ごい)と文法を中心に約120項目について、加藤教授と学生が聞き取りした。
20代以上では当たり前に口にした「いじっかしい」「だら」。ところが、中高生を中心とする10代では、
17人中13人が「いじっかしい」ではなく「うざい」と言い、「だら」派より「あほ」派の方が多かった。
「がんこ」に至っては、10代だけでなく20代でも使う人はゼロで、代わりに「めっちゃ」が幅を利かせていた。
「うざい」は、東京から広がった「うざったい」の短縮形で、関西で生まれた「めっちゃ」とともに、新しい方言に分類される。
加藤教授によると、県内では「いじっかしい」が根強く使われていたため、隣の福井県などに比べ「うざい」の浸透が遅れていた。
原因について、加藤教授は、テレビではんらんする共通語や関西弁の影響、核家族化で方言に触れる機会が減ったことのほか、
方言へのコンプレックスを挙げる。調査では「孫と話す時は遠慮して方言を使えない」とこぼす高齢女性もいた。
一方、鉛筆の芯などとがった物を指す「けんけん」に対し、若い世代では「ぴんぴん」という新しい表現が生まれている。
「しあさって」の次の日を指す「ごあさって」が廃れ、10代の間に「ししあさって」という新語も登場していた。
加藤教授は「安泰と思われていた『いじっかしい』などの金沢ことばでも衰退が進んでいる」と分析。
ただし、方言を使わなくなった若者でも、就職などで地域に密着した生活を始めると、
上の世代に合わせて方言を使う可能性があり、「10年、20年後に再調査し、確かめる必要がある」としている。
調査は、加藤教授ら5人の共同研究「北陸新方言の地理的社会的動態の研究」の一環として行われた。
以下ソース:7月6日 03時22分 北國・富山新聞
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20100706101.htm