愛媛大VBアドメテック、ペット用がん治療装置開発
2010/6/30 6:07
愛媛大学発の医療ベンチャー、アドメテック(松山市、中住慎一社長)は、動物用医療機器事業に参入する。犬やネコなどの
悪性腫瘍(しゅよう)を高熱で破壊し、がんなどの治療に役立つ装置を開発。このほど動物病院への販売を始めた。ペットブームが
広がる一方で、生活習慣病にかかる動物が増えており、医療機器の需要拡大を見込む。
同社が開発した装置「AMTC200」は、直径1.48ミリメートルの針を患部に刺し、約50〜60度の熱を10分間にわたって加えることで
腫瘍を壊死(えし)させる。皮下腫瘍のほか、内臓疾患の治療にも利用できる。価格は330万円。
患部を切除する手術に比べ、治療時間が短く動物への負担を減らすことができる。また放射線治療や抗がん剤による治療と比べて、
コストを抑えるられるという。昨年10月、農林水産省から動物用医療装置の製造販売に関する認可を取得した。
6月から動物病院向けに試験販売を開始。動物病院から集めた臨床データなどを蓄積し、本格販売に乗り出す。初年度で120台の
販売を目指す。アドメテックが設計・開発した機器を、電子機器製造のハイテック(香川県三豊市)が生産する。
近年は長寿命化や食生活の変化で、生活習慣病になるペットが増えている。動物病院の数も増加傾向にあり、同社は今後もペット
用医療機器の市場が広がるとみる。
アドメテックは2003年、愛媛大の医学部と工学部の研究者らで設立した。がん治療の技術確立と治療装置の試作を進め、動物を
使った臨床試験を重ねてきた。
同社は、人間についても局部を加熱してがん細胞などを壊死させる技術を使った治療法の臨床試験を、今年度中にも実施する計画。
昨年夏に厚生労働省に届け出が受理され、愛媛大の倫理委員会からも治験開始の承認を受けている。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819890E0EBE2E2818DE0EBE2E4E0E2E3E29E93E2E2E2E2