【論説】宗教法人の「非課税特権」を見直せ…後藤元組長に暴露された創価学会と暴力団の”深い関係”。政権は「特権」見直しに着手せよ

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1諸君(もろきみ)φ ★
 指定暴力団山口組の直参(直系組長)で、「武闘派」として知られ、2008年に引退した「後藤組」の後藤忠政・元組長が、得度
(09年・得度名は「忠叡」)から1年を機に、語り下ろしの自叙伝『憚りながら』(宝島社刊)を出版した。本書は発売(5月15日)から
僅か1カ月で累計13万部を突破、現在も順調に売り上げを伸ばしている。

 私はこの本のインタビュー・構成を担当したのだが、本書の中で後藤氏は、公称827万世帯の信者を抱え、公明党の支持母体である
「創価学会」(池田大作名誉会長)と後藤組との”深い関係”について明らかにしている。

 詳しい内容については本書に譲るが、創価学会は1970年代から、静岡県富士宮市にある日蓮正宗の総本山「大石寺」周辺の土地
を次々と買収し、「富士桜自然墓地公園」など数々の施設を造成した。しかし、その過程で様々な不正を働いていたことから、地元で
大規模な反対運動が起こり、それを押さえ込むために学会が利用したのが、富士宮市に本部を置く後藤組だったという。

 その後、富士宮市議会では80年末から、創価学会の不正を追及する「百条委員会」設置に向けた動きが始まったのだが、地元公明党
関係者らの依頼でこれを潰したのも後藤組だった。本書では、反対運動押さえ込み、百条委員会潰しの舞台裏、そしてその後、
後藤元組長を裏切った池田名誉会長を、後藤組が追い込んでいく過程が克明に語られている。

 ところが、これら後藤元組長が本書で明かした創価学会と後藤組との”深い関係”について、発売から1カ月以上が経った今日(6月18日)
現在でも、後藤元組長や版元の宝島社に対し、創価学会や公明党からの反論や抗議は一切ない。つまり彼らは、後藤元組長の語った、
暴力団と自らとの関係を事実上、認めているわけだ。

 ここ数日、暴力団関係者が関与した力士の野球賭博問題や、土俵周りの特別席で暴力団関係者が観戦していた問題で、日本相撲
協会の体質や、その在り方を問う報道が新聞やテレビ、週刊誌等で連日のようになされている。

 日本相撲協会が、暴力団との関係を厳しく追及されるのは、相撲が「国技」であることもさることながら、協会が税制上の優遇措置が
認められている「公益法人」であるからにほかならない。今後さらに同様の問題が発覚すれば、協会の公益法人の認可取り消しにまで議論
が及ぶことは必至だ。

 一方、前述の創価学会は宗教法人だが、宗教法人も法人税法上、非課税・減税措置を認められている広義の「公益法人」のひとつだ。
法人格を持った宗教団体は、宗教活動に伴う収入にはすべて、税金がかからない。宗教法人が払わなくてもいい税金は、法人税に事業税、
都道府県民税に市町村民税、所得税に地価税、さらには固定資産税……と多くの「非課税特権」が与えられているのだ。

 元暴力団組長自身が証言した創価学会と暴力団との関係は、現在マスコミを賑わせている角界のそれとは比較にならないほど深く、
悪質なものだ。果たしてこんな宗教法人に、公益法人に与えられる非課税特権を認める必要があるのか。

 創価学会をはじめ新興宗教に詳しいジャーナリストの山田直樹氏は、税財政法学者や税理士らに依頼し、全国約18万の宗教法人の
資産・収入(宗教施設やお布施等)すべてに課税したら一体、どれくらいの金額になるかを試算したという。その結果、「法人税、地価税、
不動産所得税、固定資産税などを加算していけば、少なく見積もっても年間の消費税収7兆円の半分以上、つまり3兆5000億以上」
(税理士)の税収が見込めるというのだ(『週刊朝日』6月4日号掲載「民主党政権のタブー 第2の埋蔵金 巨大宗教マネーを仕分けせよ!」)。

 国家財政が危機的状況に陥って久しいが、菅・新政権も「税制の抜本改革」を掲げるならば、消費税率アップよりもまずは、宗教法人の
非課税特権見直しに着手すべきだろう。

ソース(WEB RONZA、西岡研介氏) http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2010061800013.html