映画などの広島ロケを誘致、支援する広島市中区の広島フィルム・コミッション(FC)が、暴走族を
取り上げた漫画「BAD(バッド)BOYS(ボーイズ)」の実写映画への撮影支援を断っていたことが
27日、分かった。FCに事業を委託している広島市が「暴走族追放に向けた官民一体の取り組みと矛盾
する」と判断。制作会社は、あらためて支援を申し入れている。
▽制作会社「友情描きたいだけ」
漫画は広島県府中町の漫画家田中宏さん(40)が、暴走族少年の群像を描いたヒット作。映画は東京都の
制作会社パラレルが手掛ける。ロケ撮影を6月15〜30日、同市内などで計画する。広島FCは3月、
同社から協力依頼を受け、市に報告した。市は台本を基に関係部局で協議し、4月末に支援を断った。同社
からは2008年にも相談があり、市が難色を示していた。
市は、警察と暴走族が衝突した1999年のえびす講事件以来、02年に暴走族追放条例を制定するなど
暴走族対策に力を入れてきた。市交流課は「映画撮影を積極的に後押しするとなれば、暴走族追放を願う
市民の批判は避けられない」と説明。ただ、公共の場の使用願などが提出されれば、通常の基準に基づいて
手続きに応じる姿勢だ。同社は「描きたいのは少年の友情。暴走族という設定もなくし、不良グループに
とどめた」として、市に理解を求める文書を提出した。中区出身の窪田崇監督(33)は「FC公認でないと
地域の協力が得にくく、撮影に支障も出そう。映画は娯楽であり、フィクション。割り切って考えてほしい」と望む。
中区の映画館「サロンシネマ」の住岡正明支配人(59)は「映画の論評は見てからするもの。作る前から
協力を拒むのは残念なことだ」と指摘。暴走族少年の立ち直りを支援する青少年サポートクラブの吉川水貴
(みき)理事長(49)=佐伯区=は「暴走族対策と商業ベースの映画撮影は別の話だ。暴走族を美化する
ような描き方はしてほしくないが、市の反応は過敏に思える」と話している。(松本大典)
ソース:
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201005280105.html