米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」が28日に国内発売されることを受け、
出版社やゲーム各社が対応コンテンツの供給に乗り出す。
ネット経由で対戦できたり、書籍の関連映像を提供するなど端末の機能を生かしたコンテンツも用意する。
iPadでの将来の顧客獲得につなげる狙いだが、人気書籍や主力ゲームの投入は現時点では限定的で、
一部のコンテンツ供給側には警戒感も漂う。
主婦の友社は自社刊行物を直販するiPad向けの電子書店「主婦の友書店」を5月末にも開設。
当初は女性誌「mina」や実用書など約50 点をそろえる。
中堅印刷の広済堂もマガジンハウスやNHK出版など約50社が提供した書籍の販売を6月末にも始める。
旅行ガイドは書籍版1050円に対し電子版を600円にするなど、紙の書籍に対して6〜8割の価格設定が多い。
「旧刊を含め多様な品ぞろえができる」(主婦の友社)と期待する。
双葉社などは関連映像をネット経由で配信するサービスも始める。
電子書籍では海外では米アマゾン・ドット・コムの端末「キンドル」が先行している。
だが、iPadにはカラーで配信できたり映像を使用できるなどの利点が大きいと出版業界は見ている。
米国ではアップルが自社で展開する「iブックストア」で有力出版社の新刊を含め約4万6000タイトルを販売する。
日本での書籍は現時点では有力作家の新作は少なく、旧刊が中心だ。
ヤフーもiPad向けの電子コミック配信サービスに参入する。
開始時に最大で約100種類の電子コミックを無料配信する。
将来はパソコン向けに展開している約2万6000タイトルのiPadへの配信を目指す。
ゲーム業界は家庭用ゲーム機向けの人気タイトルを中心に配信する。
バンダイナムコゲームスが配信するアクションゲーム「パックマン」は、端末を傾けたり、
タッチパネルで操作する機能を活用する。
ハドソンはiPad専用に開発したアクションゲーム「とある騎士団と幻のお城」など3タイトルを配信する。
iPadのゲームコンテンツの価格帯は600〜1500円前後が中心。
「(無料や数百円の)携帯電話向けゲームよりも高い価格帯を設定できる」(ハドソンの柴田真人執行役員)と、
新たなゲーム端末として注目している。
ただ大手出版社では「まずは様子見」とするところが多く、
小学館などiPad向けの供給計画を明らかにしていない社も多い。
一部には「値下げ圧力につながりかねない」との警戒感もある。
ゲーム機を持つ任天堂は「iPadは存在として異質で競合とは思っていない」(岩田聡社長)とするものの、
現時点でソフトを供給する計画は明らかにしていない。
ソース 日本経済新聞 2010/5/24 2:00
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E0E1E2E29E8DE0E1E2E7E0E2E3E2869891E2E2E2?n_cid=DSGGL001