日本新聞協会は5月21日、読者・国民に向け「裁判員経験者の記者会見について」と題する文書を公表した。
裁判員制度が施行され1年となることから、国民に裁判員経験者による記者会見の実施状況とその意義を伝え、
引き続き会見への参加を呼びかけている。
新聞協会は、裁判員制度の理解と検証のためには、裁判員経験者の取材協力を得て裁判員の経験や感想を
広く共有する必要があると考え、裁判員制度開始に先立ち、2009年2月26日「裁判員となるみなさんへ」を公表し、
取材・報道への理解、判決後の記者会見への協力を求めてきた。新聞協会編集委員会が今年1月から2月にかけ、
各地裁での運用状況を把握するために実施した調査によると、95%の裁判員裁判で、裁判員経験者が判決後の
記者会見に参加してくれたことが明らかになった。
新聞協会は、制度2年目に入り、審理が困難な事件が対象となることが予想される中、制度を検証する上で
裁判員経験者の声を報道することがますます重要となってくることから、記者会見という取材機会の持つ意味、
重要性を国民に伝え、引き続き記者会見への参加を呼びかけることとした。
ソース:日本新聞協会、新聞協会ニュース
http://www.pressnet.or.jp/news/headline/100521_521.html ■「裁判員経験者の記者会見について」 2010年5月21日 社団法人日本新聞協会(一部抜粋)
http://www.pressnet.or.jp/statement/100521_520.html 新聞協会では今年1月から2月にかけて、裁判員裁判が開かれる全国の地方裁判所で、裁判員裁判や判決後の記者会見が
どのように行われたのか、加盟社で分担してアンケート調査を行いました。3月以降の事例も含めると、全国60地裁・支部で
開かれた228件の裁判員裁判のうち、約95%に当たる217件で、裁判員や補充裁判員を経験したみなさんに判決後、記者会見に
出席してもらったことが分かりました。みなさんのご協力に感謝します。
経験者ならではの貴重な声は、「国民の司法参加」を目的にした新制度を報道する際、欠かせない要素になっています。
制度開始後3年となる2012年以降に必要に応じて制度が見直されることになっていますが、それに役立つような意見も聞かれています。
一方、記者会見の運用面では、報道側は裁判所との協議を続けています。前記アンケート調査によると、記者会見に立ち会った
裁判所職員が、守秘義務がかかる「評議の秘密」に当たる可能性があると指摘し、裁判員経験者の発言を制止したケースが23件
あったことも分かりました。一部の指摘はその後撤回されましたが、裁判員経験者の発言を委縮させかねない問題だと考えています