【ワシントン=勝田敏彦】地球の自転と同じ周期で周回しているため、地上から止まって見える静止衛星が、
本来の位置をはずれて漂流し始めた。静止衛星の漂流は非常に珍しい。他の衛星の通信を妨害する恐れもあるため、
管理・運営会社のインテルサット(本社・ワシントン)は対応に追われている。
この衛星は2005年、西経133度の赤道上空に投入された通信衛星「ギャラクシー15(G15)」。
地上約3万6千キロ上空を回っているが、インテルサットによると、4月5日に地上からの指令に反応しなくなり、
高度をほぼ保ったまま1日当たり東へ約20キロの速さで漂流し始めた。すでに約400キロ離れた自社の隣の
衛星の付近を通過。現在は約1500キロ離れた別の会社の通信衛星AMC11に接近中だ。
衛星同士が衝突する可能性は少なく、万が一、可能性が出てきても、相手の衛星に軌道修正の指示を出し、
逃げさせることはできるという。ただ、通信衛星としての機能をG15が失っていないため、別の衛星に接近すると
通信を妨害する恐れがある。インテルサットは他の管理・運営会社と連絡を取り、代替衛星への通信切り替えなどを行っている。
G15は22年まで運用される予定で、故障の原因は不明。一時的な太陽活動の活発化によるとの見方があるが、
インテルサットは「結論が出るまで数カ月かかる」としている。衛星同士の衝突は09年2月に初めて起きた。
大量の宇宙ごみが発生したと考えられており、他の衛星の影響が心配されている。
ソース:
http://www.asahi.com/science/update/0510/TKY201005100075.html