「人に迷惑をかけない」「礼儀作法をわきまえる」というのが、幼稚園児を持つ保護者が抱く「理想の子供像」なのだそうな
▼成長した時に周りの意見ばかり気にして、自分の意見が言えなくなるのではないか。
調査を実施した全国国公立幼稚園長会は、最初から子供に協調性ばかり求めていると、
没個性化につながりかねないと危惧(きぐ)する
▼この調査にはさらに興味深い結果がある。「子供のしつけに自分以外の大人の登場を願う」と回答した親が8割もいたのである。
子供には規範意識や礼儀作法を身に付けてほしいが、自分が教えるのは苦手。そんな現代の親像が浮かぶ
▼宗教学者の山折哲雄さんが雑誌「望星」5月号のインタビューで「タテ軸の人間関係」の大切さを説いている。
戦後の日本は、民主化が進む過程でヨコ軸の平等主義ばかりが尊重され、
伝統の継承というタテ軸の人間関係がいとも簡単に否定され、捨てられてきた
▼だが否定された伝統の中には、人間のありようや生き方など、伝えていかなければならない大事なものが数多くあったのではないか。
それに今、多くの人が気づき、戸惑いや喪失感を覚えているというのだ
▼子供に協調性を求めるが、自分一人でしつけるのは無理だと考える親の多さを、社会はどう受け止めるべきか。
「価値観が違う」などとはなから否定せず、良き知恵や技を継いで積み上げていく。親と子、祖父母と孫、あるいは上司と部下、
そんな世代間のたすきリレーができないか。
ソース:秋田魁新報 2010/04/19 09:58
http://www.sakigake.jp/p/column/hokuto.jsp?kc=20100419ax