自民職員と大成建設、補助金狙いNPO 省庁に働きかけ
自民党本部の幹部職員が大手ゼネコン大成建設とともに特定非営利活動法人(NPO法人)を設立し、同社の事業を
後押しする施策を創設するよう農林水産省など各省庁に働きかけていたことが朝日新聞の調べで分かった。
省庁は要請に応え、一部の事業には補助金も出ている。
NPOサポートセンター理事長の山岸秀雄・法政大教授は「与党の幹部職員だった立場を利用し、NPO法人を特定企業のために
利用している事例ではないか。特定団体の利益を目的とせず、特定政党のために利用しない、とするNPO法の精神に反する」と指摘する。
この党職員は1972年から一貫して国会対策委員会畑で、国対事務部長などを歴任し、現在は党の参与。NPO法人は
08年8月設立の「国土環境保全支援機構」で、参与が副理事長。当時、党国対委員長だった大島理森幹事長の政策秘書の
親族と知人が役職に就き、大成建設社員が技術顧問だ。
大成建設や参与によると、同社と青森県内の建設業者が約5年前、間伐材から作った木炭を土壌改良に使い、農作物などを
環境に優しい商品として売り出す――という事業を始めた。不況で下請け業者の仕事が減っており、雇用創出のねらいもあったという。
しかし採算が合わず、事業の中止が検討されるなかで、大成建設幹部が参与に相談。参与は、この事業を国が推し進める
環境事業にするよう省庁に働きかけることを了解。国の事業を直接引き受けるのにふさわしいNPO法人の設立を決めた。
参与は、まず知り合いの農水省幹部に間伐材から木炭を作る事業に補助金を出すよう要請、「山に廃棄された間伐材は
二酸化炭素を放出する。木炭にして土にすき込めば温室効果ガス排出削減につながる」などと説明したという。
これを受ける形で、農水省は09年度から「土壌炭素貯留モデル事業」の実施を決定。昨春、NPO法人が事務局を務め、
青森県や三重県の研究機関が参加する団体などが選ばれ、計約2千万円の補助金交付が決まった。
農水省のモデル事業は政権交代を機に行政刷新会議の「事業仕分け」で、「国がやるべきことではない」などと批判され廃止が決まった。
NPO法人は昨年、木炭で青森県内の生活排水を浄化する取り組みでも林野庁所管の公益法人の事業に選ばれ、338万円の
交付金が決まった。参与は、NPOを事業に選ぶよう農水省幹部に口利きを頼んだという。大成建設は木炭と微生物を利用した
水の浄化や木炭を肥料とする技術で特許を申請しており、この事業では同社の技術の製品化も模索している。
大成建設広報室は「環境保護への取り組みは、社会貢献につながる。NPO法人が自民党寄りであることは知っているが、
会社として特段のメリットがあるわけではない」としている。(坂田達郎、本田直人)
ソース::asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY201002210302.html