★参院選山形自民候補選考 新人が予備選、現職サイド埋没懸念
今年夏の参院選山形選挙区(改選数1)をめぐる自民党県連の公認候補選びが活発化してきた。
一時は3選に意欲を示す現職の岸宏一氏(69)に流れが傾いたかに見えたが、
県連の「公募」に30、40代の新人が手を挙げ、情勢は一変した。
2新人が現職への挑戦権を争う異例の展開に、岸氏の支持者は「現職が埋没してしまう」と不満と焦りを募らせる。
<余裕の笑み>
「予備選をどんどん有権者にアピールしたい」。
「新生・自民党」を訴える舞台が整い、今井栄喜幹事長は1月30日、余裕の笑みを浮かべた。
候補者選考で県連は同日、公募に応じた山形市議の遠藤和典氏(40)と
東京財団研究員の大沼瑞穂氏(31)の2人による予備選の日程を固めた。
ここに至るまで、県連執行部内には弱気と強気が交錯した。候補者募集を決めたのは昨年12月。
当初、執行部は「公募」という言葉を慎重に避けていた。岸氏の支持勢力が「現職を優先すべきだ」と反発したからだ。
県連は3年前の参院選と昨年の衆院選山形2区でいずれも新人を擁立、惨敗を喫した。
特に参院選は公募に失敗した苦い記憶がある。国政選挙の連敗は執行部の求心力を弱め、
県連内の勢力図に複雑な影を落とした。
一枚岩を演出したい執行部は今回、「現職を尊重し、シード権を与えた。
公募ではなく、山形オープン方式だ」(加藤紘一県連会長)といった言い回しで岸氏側の不満をかわそうとしてきた。
年が明け、2新人が登場する「願ってもない展開」(県連幹部)に執行部は強気に転じた。
岸氏を支持する地域支部長は「新人に注目が集まれば世代交代の印象が強まる」と情勢の変化に焦燥感を募らせた。
<遺恨消えず>
今回の選考方法に、岸氏支持者の間では「岸氏外しだ」との見方が根強い。
脳裏にあるのは昨年1月、さらには5年前の知事選だ。
岸氏は加藤氏ら県選出国会議員にあらがい、別の候補を支援して連勝した。
昨年の知事選直後、県連幹部は「岸氏に3選はない」と言い切った。
ある職域支部長は「知事選の遺恨は今も消えない。
そもそも『王者(現職)への挑戦権を争う』という予備選の方法は明らかに現職にとっては不利」と解説。
「現職と新人の3人で意見を戦わせた方がフェアだろう」と指摘する。
党員投票のシナリオが決まった1月24日、加藤会長は「自民党は本当にオープンになった」と満足げだった。
その一方、中堅県議は「火種が生まれた」と語り、岸氏の動向など波乱含みの展開を予言した。
河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/02/20100201t51010.htm