女性がカウンター越しに接客する「ガールズバー」が急増している。風俗営業法の対象外の「飲食店」として、気軽に飲めて遅くまで開いているのが
人気だったが、最近は料金をめぐるトラブルが目立つ。昨年末、大阪・ミナミでガールズバー店長を殴ったとして、漫才コンビ「メッセンジャー」の黒田有
(たもつ)さん(40)が傷害容疑で逮捕され、起訴猶予処分で12日に釈放された事件も、4人で25万円とされる高額請求が発端だったという。
競争激化で、女性が客の近くに座るなど、バーの範囲とは言えそうにない店も多くなっている。
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ガールズバーは、若い女性がカウンター越しに接客するのが基本。「飲食店」の扱いで、食品衛生法上の飲食店営業の許可を受け、都道府県
公安委員会へ深夜酒類提供店営業の届け出をすれば、終夜営業もできる。キャバクラのように女性が客の隣に座って接客する店は「風俗店」として
風俗営業法上の届け出が必要で、午前0時過ぎの営業は原則禁止されている。
大阪府警によると、ガールズバーの発祥は大阪。2006年の改正風営法の施行で風俗店への規制が強まり、無届け営業のキャバクラ店などが、
ガールズバーに「衣替え」するケースが多かったとみられるという。不況の中、比較的安い料金で女性との会話が楽しめるとして人気が出て、各地で
増え始めた。
府警保安課によると、大阪府内では、キタとミナミを中心に少なくとも約160店はある。兵庫県警は昨年11月、神戸・三宮の歓楽街に35店を
確認。生田署幹部は「入れ替わりが激しく、店舗数を正確に把握するのは難しい」と話す。京都府警の昨秋の調査では京都市内に約40店あり、
やはり増加傾向だ。中四国最大の繁華街、広島市流川(ながれかわ)・薬研堀(やげんぼり)地区でも、複数のガールズバーが営業。広島県警の
ある捜査員は「ここ数年、明らかに増えてきている」と話す。
最近では、女性が水着姿になったり、指名料を払えば一対一で話ができたりする店も多い。どこまでが「飲食店」として許される接客行為なのか、
線引きは難しい。大阪府警は「普段の営業実態を見極める必要がある」とする。
飲食店の営業許可やコンサルタント業務を手がける行政書士(32)は「2年ほどでガールズバー開店の相談が急増した。競争激化で過激な
サービスに走ったり、ぼったくったりする店が出ているのでは」と話す。
あるガールズバーの責任者は「バーを名乗るメリットは大きい」と説明する。安い時給で従業員を雇うことができ、女性が客に払ってもらって飲む
1杯数千円のドリンクで売り上げを増やせば「下手なクラブよりも客単価は大きくなる」という。(後藤泰良、丸山ひかり、金指光宏)
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《ガールズバーの主な摘発例》
■2008年11月 従業員に客と一対一の接客をさせていたとして、警視庁が東京都新宿区の店の経営者を風俗営業法違反(無許可営業)
容疑で逮捕。
■同12月 客の隣に従業員を座らせて接待行為をさせていたとして、大阪府警が大阪市中央区の店の経営者ら3人を同容疑で逮捕。
■2009年2月 中学3年の少女に接客や客引きをさせていたとして、大阪府警が大阪市北区の店の経営者を同法違反(年少者雇用)容疑で
逮捕。17歳の少女2人を店長と副店長に任命していたという。
■2010年1月 従業員に薄いワイシャツと半ズボン姿で接客させていたとして、神奈川県警が横浜市の店長ら4人を同法違反(無許可営業)
容疑で逮捕。
ソース(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0130/OSK201001300059.html?ref=rss