デフレスパイラルで2番底の恐怖――。日本の景気の先行きにそんな暗い見通しが強まっている。
09年は「100年に一度の危機」からの脱却を目指し、世界各国が巨額の財政出動や
金融緩和で、なんとか大崩壊を免れた。ところが、ドバイ・ショックが発生、
再び世界経済は激震に見舞われた。その第2弾が襲う。
「危機対応に巨額の資金供給とゼロ金利政策を行った米国は、深刻な財政赤字に陥っている。
無理な危機対応のひずみが表れ、その後始末に追われることになります。
政策金利の引き上げを機に株が暴落する場面も予想される。ユーロ圏も危うい。
特にPIGSと呼ばれる、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン各国の
財政赤字が懸念材料になっています。いつ、第2のドバイになってもおかしくありません」
(東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏)
民族問題や雇用不安を抱える中国経済もいつ減速してもおかしくない。
再び世界経済が大混乱に陥れば、ただでさえ脆弱(ぜいじゃく)な日本経済はひとたまりもない。
「09年7―9月期のGDPが大幅に下方修正されましたが、生活実感に近い名目GDP成長率は
もっとヒドくて年率換算で3.4%のマイナスです。まさにデフレの深刻化を裏付ける結果となった。
先行き不透明のなか、企業は設備投資も給与アップもしない。だから内需は冷え込んだ状態が続く。
セールの前倒しばかり繰り返す百貨店の惨状を見れば歴然です。
日本経済は辛うじて新興国向けの輸出でしのいできたが、これとていつまでも続く保証はありません」(経済ジャーナリスト)
民間シンクタンクの10年の実質成長率予測は平均1.1%だが、アテにしない方がいい。
「1―3月期まではなんとか今の水準でいくが、それ以降は心配です。所得の落ち込み、失業率の高止まり、
期待はずれの景気対策などが相まって、内需は冷え込むばかりでしょう。
欧米や新興国経済の悪化で頼みの輸出がダメになれば、デフレスパイラルが進行、年度後半に
2番底の可能性があります」(斎藤満氏=前出)
給料カットどころか、倒産続出で失業者が街にあふれる。若者も2人に1人は職に就けない
状況に追い詰められる。絶望と困窮の一年になりそうだ。
http://gendai.net/news.php?m=view&g=syakai&c=020&no=44160