【生活】お金・離婚・夫からの愛…夫が浮気したら、あなたはどうしますか。あなたは浮気の代償をどこに求めますか(AERA)

このエントリーをはてなブックマークに追加
1諸君(もろきみ)φ ★
 時間通りなのに、優しく謝られた。「お待たせしてごめんなさい」品のいいワンピースにゆるく頬にかかる髪。笑顔でいすに座った途端、専業主婦のエリさん(33)は
つぶやいた。「私、街中がクリスマスに染まると苦しくなるんです。まだ」

 広告代理店に勤める夫(35)は、身のこなしがスマートな典型的モテ男。「結婚前、女の影がチラついたことが何度もあります。でも、妻の座を得るために耐えました」

 納得して結婚したはずだった。時間に不規則な仕事だと、頭ではわかっていた。でも昨年の秋、夫の休日出社が増えてつい不安になり、自分を安心させるために
携帯電話をチェックした。罪悪感から、見る前に自分と約束した。

 ──浮気メールを見つけても、絶対に夫を糾弾しない。

 読むに堪えない文面だった。「イブは一緒にいて」「口では言えないような言葉がたくさん書いてありました」エリさんは、そう言った。

 夫の携帯メールを一度でもチェックしてしまうと、見たい衝動を抑えられなくなった。夫が眠る横でも携帯の画面をのぞいていた。だが、夫を責めはしなかった。

 「あれは誰なの?」叫びたい思いを笑顔の下に隠した。クリスマスが近づき、愛人が夫に送ったメールを読んだ。

 「25日は家族と過ごしてもいい。でも、イブは一緒にいて」と書いてあった。

 当日の朝、夫を見送りながら、大丈夫という思いがどこかあった。結婚当初から夫は、「イブは絶対家族で過ごしたい」と言っていたから。息子(5)のためにも
夫にすがりたかったし、信じたかった。夫は微笑みながら出かけていった。

 その晩、夫は帰らなかった。
 「時計の針を見ながら、のどの奥がキューッと苦しくなった」

 すぐに留守電になってしまう夫の携帯に、何度も電話した。息子の前では、平静を装った。午前0時を過ぎ、イブが終わった。事故にあったのかもと、別な不安に
襲われ、警察に電話した。「対応してくれた人の冷静な声を聞いて、素に戻りました。どうして警察に電話したのか、今でもわかりません」

 午前1時を過ぎて、愛人に電話しようと心に決めた。夫の安否を確かめたい一心だった。受話器を持ったが、何回かためらった。3コール目に女が出た。

 「はい」澄んだ声で言われた。「すみません。スズキシンゴの妻ですが、夫を知りませんか?」
 20秒ほど沈黙が流れた後、こう言われた。「隣で寝ています……」

 自分の中の何かが音を立てて壊れるのを、そのときに聞いた。

 「主人に代わってください」「寝ていますので……」
夫をねぎらう愛人の言葉に余計に動転して、叫んでしまった。

 「いいから、たたき起こして!」
次の瞬間、夫が出た。いつもの彼の声だ。安心すると同時に、熱いものがこみ上げてきた。

■会社前で「待ちぶせ」

 「何をしているの?」「寝てる」「どこで?」

 沈黙の後、夫が言った。「いったい何時だと思っている。どうして、電話番号を知っているんだ」

 なぜか、自分が責められた。
 翌朝、我慢できなくて会社の前で夫の出勤を待った。普段通りの顔をしている夫を見つけ、思わずカバンを投げた。出勤前の会社員にじろじろ見られたが、
構わなかった。でも、路上で罵倒し続けているうちに、「すべてが終わってしまう」と思った。

 急に、切なくて悲しくて、思わずこう言った。「ごめんなさい。携帯を見たことは、反省しています。だからお願い、どこにも行かないで」

 追い詰められていたのだろう。その後の記憶はない。愛人とのその後も知らないし聞かない。夫の携帯チェックもやめた。女友だちに、「慰謝料取って離婚すれば?」
と言われたが、考えたくなかった。彼を取り戻したかった。

 最近、夫婦仲は戻ったと思う。でも、傷は簡単に消えない。
 「愛人と話すとダメですね。顔を想像して、いまだに辛いです」

(以下略。全文はソース元でどうぞ)
ソース(AERA) http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/aera-20091218-01/1.htm