◇コスモ証券、「回転売買」で手数料荒稼ぎ
証券準大手「コスモ証券」(大阪市)で、投資信託の販売の際に次々と別の商品への
乗り換えを勧めるなどの「回転売買」が、手数料稼ぎのために繰り返されていた
可能性が高いことが、証券取引等監視委員会の検査でわかった。
販売先の多くは高齢者で、手数料収入は数億円に上るという。監視委は、適正な
勧誘を義務付けている金融商品取引法違反に当たるとみて、同証券の行政処分を
金融庁に勧告する方針で検査を進めている。
市場関係者によると、同証券の複数の社員は、2008年秋から数か月間にわたり、
同じ投信について、ある顧客には「利益が見込めない」などと別の投信への乗り換えを勧め、
一方で、別の顧客には「利益が上がる」などと購入を勧めていた。同証券はそうした取引で
手数料を得ていたという。
また、社員の勧めで一人の顧客が数か月間に数十回にわたって投信を買い替え、
計数百万円の手数料を払っていた例もあった。多額の含み損がある段階で売却した顧客もいた。
顧客の中には、比較的価格変動の小さい投信を購入して安全に運用しようとしていた年金生活者もいた。
回転売買自体を規制する法律はないが、監視委は、顧客の知識や
財産状況などを考慮せず不利益を与える不合理な取引だったとみている。
問題の取引が行われた時期は、リーマン・ショックで世界的に株価が下落し、
証券業界が厳しい経営を迫られた時期と重なっていた。
監視委の検査では、本社の営業担当幹部が各支店を通じて回転売買を指示していた。
同証券の投信の預かり資産残高はほとんど変化がないにもかかわらず、
手数料収入は増えていたという。
回転売買は、証券会社が手数料を稼ぐ手法として、株取引を中心にバブル期に横行。
顧客の不利益につながる恐れがあるとして批判を受け、証券各社は、1990年代初めに
表面化した証券不祥事を契機に、自主規制していた。
同証券経営企画部は「監視委の検査で回転売買ではないかと指摘をされたのは事実だが、
組織的ではない」と話している。
同証券は1917年創業の老舗。04年9月に情報サービス大手「CSKホールディングス」(東京・港区)の
連結子会社になった。従業員数は約900人。09年3月期の税引き後利益は108億円の赤字だった。
◆投資信託=複数の投資家から集めた資金を一つにまとめ専門家が株や債券などで
運用する金融商品。購入の際は元本の数%に当たる手数料を証券会社などに支払う。
運用益は分配されるが、値下がりする場合もあり、元本は保証されない。
ソース(goo 読売新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20091203-567-OYT1T00645.html ▽画像
http://img.news.goo.ne.jp/picture/yomiuri/20091203-567-OYT1T00645-20091203-280762-1-L.jpg?640x0 ▽コスモ証券
http://www.cosmo-sec.co.jp/CGI/index.cgi ▽プレスリリース
http://www.cosmo-sec.co.jp/press_release/00000120.pdf(PDF)