新型インフルエンザの発病者を全体として減らすには、ワクチン接種は2回より1回の方が効果的なことを、
西浦博・科学技術振興機構さきがけ研究員らが明らかにした。
厚生労働省は11日、国内の成人や妊婦らのワクチン接種を原則1回とする方針を発表しており、
理論的にも裏付けた。
13日の欧州の感染症専門誌に発表した。
研究チームは、ワクチン接種の回数によって、新型インフルエンザの発病率が
どのように変わるかを、新型インフルエンザの感染率などのデータをもとに理論的に分析した。
その結果、ワクチンの総数に限りがあり、1回接種の際のワクチンの効果が2回の効果を
大幅に下回らない限り、接種回数を1回に減らして2倍の人数に接種した方が、
集団全体の発病者をおおむね半分に減らせる可能性の高いことが分かった。
しかし、子どもはワクチンによって血液中にできる抗体(免疫物質)が大人と比べて少ないため、
当面は2回接種とし、臨床試験の結果やワクチン効果の評価を基に、回数を再検討すべきだとした。
厚労省は、成人の場合、接種が1回でも2回でも抗体(免疫物質)に大きな差がないとの臨床試験の結果から、
「原則1回」の方針を決めている。
西浦さんは「全体の発病者を減らす観点からも1回接種とする意義は大きい」と話している。
【永山悦子】
毎日新聞 2009年11月14日 15時00分
http://mainichi.jp/select/science/news/20091114k0000e040052000c.html