■何のための補正予算か
報道によれば、鳩山政権が2009年度第2次補正予算を検討しているという。
厳しい雇用情勢や、国内景気再減速の懸念に備えるためらしい。
景気対策とは文字通り、景気や雇用の悪化に対処するためのものだ。
麻生前政権は、世界的な経済金融危機に伴う国内景気の急激な冷え込みに対して、
真水で14兆円強の景気対策を09年度第1次補正予算で実施し、
実際に景気下支えの成果を出した。
政府は、そのうち約3兆円の執行を凍結し(うち公共事業は約5千億円)、それを第2次補正の財源に充てるという。
しかし、そのような補正予算の組み替えをなぜ行うのか、それがなぜ景気対策なのかは、
明らかにされていない。
現行補正予算の景気刺激効果が小さいため、より大きな効果を発揮する
施策に転換するためなのだろうか。
景気対策は、今そこにある不況に対処するためのもので緊急性が高い。
さまざまな批判を承知の上で言えば、だからこそ、即効性のある公共事業が選ばれてきたし、
実際にその効果を発揮してきた。
従来型ではない公共投資といえば聞こえはいいが、新たに計画を策定するのであれば、
眼前の不況には間に合わない。
規制緩和もしばしば対策に盛り込まれてきたが、本来は中長期の成長力を高めるものだろう。
そのような性格を帯びた現行補正予算を組み替えて、新たな景気対策を打ち出すのであれば、
政府は、景気の現状認識や見通し、予見されるリスクとその大きさ、現行対策と比べた
新対策の効果や有効性を、国民に明確に示すべきだ。
マニフェストにこだわるあまり、対策をいじくり回すだけなら、政策そのものが
景気にとってリスクになりかねない。
(山人)
2009年11月14日0時6分
アサヒコム
http://www.asahi.com/business/topics/column/TKY200911130435.html