チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が8日、
中国が領有を主張するインド北東部アルナチャルプラデシュ州タワンを訪問した。
ダライ・ラマへの批判を続けている中国政府は強く反発しているが、
ダライ・ラマは現地で記者団に
「訪問は政治とは無関係。中国の反発はいつものことだ」
などと述べた。
タワンはチベット仏教徒が住民の多数を占め、
59年のチベット動乱でダライ・ラマがインドに亡命する際、
最初に訪れた町として知られる。
62年の中印国境紛争では、中国軍がタワンを含む同州のほぼ全域を一時支配し、
兵を引いた現在も領有権を主張している。
訪問計画について、中国側は「中印関係を損なう」としてインド側に認めないよう求めていた。
これに対し、インドのシン首相は
「ダライ・ラマは大切な賓客。どこへでも自由に行くことができる」
と容認を決めたが、現地入りを試みた外国人報道関係者を締め出すなど、
中国側にも一定の配慮を見せた。
【ニューデリー=武石英史郎】
アサヒコム
http://www.asahi.com/international/update/1109/TKY200911090006.html