・「とにかくうれしいです」。金沢市の佐藤洋子さん(45)=仮名=は、母子加算復活が決まり
安心した表情を見せた。
毎月、生活保護費など約二十四万円で暮らす。育ち盛りの小中学生の娘三人との四人家族で、
五万円弱の食費は増える一方だ。支給日前の夕食は、具がモヤシだけのお好み焼きやふりかけ
ご飯でしのぐこともある。「ごめん、もうお金ないから」「いいよ」。素直に納得してくれる娘たちには
感謝している。
節約できるのは洋服代ぐらい。今年中学校に入学した次女(12)には、体操服を一枚しか買って
やれなかった。「これでもう一枚買えます」
母子加算の復活に伴い、代替措置の「ひとり親世帯就労促進費」は廃止が決まった。所得に応じて
月額最大一万円を支給し、就労による自立を支援する制度だ。九月に仕事が始まり、十一月分から
受け取る予定だった佐藤さんは、「一万円がなくなるのは大きい」と残念そうに話した。
一方で、参考書の購入などに使える「学習支援費」は継続される見込みに。三人分で約九千四百円と
少ない額ではなく、「もしなくなったら、生活費に食い込んでいた」と胸をなで下ろした。
母子加算の復活時期は十二月までずれ込み、代替措置の扱いが継続と廃止に分かれた。
要求額が過去最大に膨らんだ来年度予算の編成をにらんだ財務省と厚生労働省が“綱引き”した結果だ。
「学習支援費は教育のためのお金で、母子加算とは趣旨が違う。まず、受ける側に何が必要かを
考えてほしい」。当事者よりも予算ありきの議論に、違和感を隠さない。
母子加算では子ども一人に約二万円が支給されるが、二人目以降の上乗せ分は千円ほど。
「子どもが三人いれば、お金も三人分かかるのに」。復活自体は喜ぶものの、釈然としない部分も残る。
「母子家庭のみ」という条件にも疑問がある。「大変なのは父子家庭も一緒では」。この機会に「ひとり親
加算にした方がいい」と提案する。(一部略)
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2009102502000188.html ※佐藤家の生活費:
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/images/PK2009102502100130_size0.jpg