埼玉県川口市の知的障害者作業所の利用者は、滝沢村鵜飼の農業小関利昭さん(59)方に滞在し、
無農薬有機栽培で育てた野菜を収穫、秋の実りを実感している。利用者約100人が5月から交代で
泊まり込み。季節ごとに収穫した野菜は地元川口市の催しでも販売し、好評だ。都会から離れ土に
親しむ活動は6年目を迎え、滝沢村民との交流も深まる。岩手の自然と人情は、利用者の活力の源になっている。
小関さん方で農作業体験するのは、埼玉県川口市の特定非営利活動法人(NPO法人)あさひ共生会の
施設で作業する利用者。宿泊研修として、5月末から10月まで13班、約100人が代わる代わる小関さん方を訪れた。
小関さん方の敷地に常設したトレーラーハウスに、交代で6〜10人が泊まり込んだ。
農作業は季節により変化し、春はジャガイモ植え、夏にはナスやピーマンを収穫。ことしは畑を広げ大豆も
多く作った。有機栽培で、地元の催しで売るとすぐに完売する人気。時期が来ると販売を待つ人もいるという。
ことし最後となる20日まで6日間の研修には職員2人と利用者5人が参加。ジャガイモ、アズキ40キロ、
カボチャ20個などを収穫した。
利用者の斉藤由希江さん(33)は「アズキの皮を一粒一粒むいた。岩手の景色はきれいで大地は広い」と
充実の表情。職員の内田邦彦さん(40)は「普段話さない人が鼻歌を歌い表情も会話も豊かになる」と話す。
同法人の風間俊夫施設長は「コンクリートの世界を離れ、自然に触れさせたい」という思いがあったという。
施設に小関さんの親類が勤務する縁もあり、小関さん家族が2004年から作業の助言をし交流を深めている。
小関さん一家は「地域の運動会にも参加するほどなじんでいる。生き生きとした顔を見ると元気をもらう」
と笑顔で見守る。
生き生きと野菜栽培 滝沢の農家で埼玉の知的障害者
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