★補助金使途、厚労省にウソ報告…全精社協
社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」(全精社協、東京)の補助金不正流用疑惑で、
協会が2007年度の補助金3130万円について「当初の計画通りに使用した」とする
うその報告書を厚生労働省に提出していたことがわかった。
大阪地検特捜部は報告書を入手しており、協会の元事務局次長・五月女(そうとめ)定雄容疑者(58)
(業務上横領容疑で逮捕)らが不正を隠すために報告書を偽造したとみている。
報告書の提出を受けながら不正を見抜けなかった厚労省のチェックの甘さも浮かんでいる。
同省によると、団体が補助金を受け取るためには毎年3月までに調査・研究事業の計画書を添付して
申請する必要がある。その後、大学教授らでつくる外部委員会が審査し、翌年3月に補助金を交付。
団体は調査・研究に要した費用を精算したうえで、1か月後に利用報告書を同省に提出する。
協会は07年度、「重度精神障害者支援に関する調査研究など3事業を行う」として補助金交付を申請。
翌08年3月に計3130万円を受給した。しかし、その直後に、五月女容疑者が基本財産の穴埋めのため、
うち1800万円を不正流用していた。五月女容疑者は不正流用の事実を隠すため同年4月、
「3事業を申請通りに実施し、計画書とほぼ同額の賃金や旅費、印刷製本費用などを使った」とする
報告書を厚労省に提出していた。
厚労省の担当者は「書類はきちんと整っていたので不正に気づかなかった」としている。
◆五月女容疑者「数百万円持ち議員会館へ」◆
五月女容疑者が大阪地検特捜部の調べに対し、「2008年春、すでに死亡した前幹部と
一緒に数百万円を持って東京・永田町の議員会館に行った。直接見てはいないが、金は、前幹部が
政治家に渡したと思う」などと供述していることがわかった。特捜部は、五月女容疑者の供述の
裏付けを進めるとともに、国会議員の関与がなかったかどうかを慎重に調べている。
協会関係者によると、協会は07年4月、社会復帰支援施設「ハートピアきつれ川」
(栃木県さくら市)の運営を引き継いだが、前幹部は当時、同施設の購入も希望していたという。
一方、特捜部は07年当時の理事6人について任意で事情聴取を始めた。6人は08年3月、
五月女容疑者の指示で、07年度の補助金計1800万円を受け取った直後、
協会の別口座に還流させる補助金の不正流用に関与したとされる。
讀賣新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090925-OYT1T00706.htm