★全精社協、粉飾決算で赤字隠し 補助金増額狙う
元会計担当幹部が逮捕された社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」
(全精社協、事務局・東京)が06〜07年度、赤字を隠すために決算を
粉飾していたことが大阪地検特捜部の調べでわかった。
健全な運営を装って精神障害者支援施設「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市)の
引き継ぎをスムーズに進め、多くの補助金を得る狙いがあったとみている。
ハートピアは障害者が働くホテルと授産施設を併設した全国初の施設。
厚生労働省の担当者は「赤字と分かっていれば、譲渡はなかっただろう」と話している。
全精社協はもともと、全国の精神障害者施設の事業者ら約1千人から集めた
年会費計約1800万円や、運営に関しての国からの補助金をもとに、
精神障害者の社会復帰を支援するための研修や調査研究の活動を続けてきた。
しかし、協会の内部調査では少なくとも06年から赤字状態だったという。
特捜部の調べによると、全精社協は厚労省の仲介で07年4月に
「全国精神障害者家族会連合会」(全家連、07年破産)からハートピアの
事業譲渡を受けたが、直前の06年度決算は約1100万円の赤字だった。
全家連の破産管財人から土地・建物を08年6月に買い取る前の07年度決算も
約560万円の赤字で、資本金6千万円も厚労省の承認なく取り崩していたという。
だが、全精社協は06、07年度とも資産全体では「黒字」を装い、
06年度は収支の赤字額を実際より低く見せかけ、07年度はハートピア職員の
「退職金」にあてるべき原資を運転資金に回すなどしていた。
国の補助金を一時的に移動させるなどの方法で資本金の穴埋めもしていたという。
asahi.com
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全精社協はハートピアの譲渡を受けた結果、06年度に1800万円余りだった
補助金の受給額が、07、08年度になると、国や栃木県などからの施設運営費も含め
1億数千万円にまで増えた。しかし、ハートピアの経営難は続き、全精社協は現在、
事実上活動を停止している。
今年2月の全精社協の内部調査の報告書では、粉飾当時の公認会計士が
「赤字の法人では(ハートピアを)買収できないため、赤字を消さないといけなかった」と説明。
特捜部は、会計士事務所(東京)も関連先として捜索し、会計資料を押収している。
全精社協をめぐっては、協会の資金を着服した業務上横領容疑で会計担当の元事務局次長、
五月女(そうとめ)定雄容疑者(58)が逮捕されている。五月女元次長も逮捕前の取材に
「譲渡後に補助金が増えれば、協会の運営もうまく回ると思った」と明かしていた。
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