民主党が、税金の無駄遣いとしてやり玉に挙げる公共事業。前原誠司国土交通相は、早速「八ツ場(やんば)ダム」(群馬県)と
「川辺川ダム」(熊本県)の建設中止を表明した。民主党は公共事業の見直しで、1・3兆円を節約したい考えだが、すでに総事業費の
約7割が投入された八ツ場ダムは、関係自治体への補償などから「造ったほうが安上がり」とも。地元では建設継続を求める動きが過熱
しており、ダム事業に翻弄(ほんろう)され続けた人口6千人の田舎町が政権交代で揺れている。
■公約遂行…地元は猛反発
「マニフェストに書いてありますから中止します」
前原国交相は今月17日未明、国交省に初登庁し、待ちかまえた報道陣にあっさり、八ツ場ダムの建設中止を明言した。8月末の
衆院選で大勝した民主党は、マニフェストでうたった「5つの約束」の1番目に、税金の無駄遣いの根絶を掲げ、八ツ場ダムの中止を
名指ししており、今後の公共事業に対する鳩山政権の姿勢を国民に示した形だ。
八ツ場ダムは、治水や首都圏への水供給などを目的に、平成27年の完成を目指している多目的ダム。建設場所となる群馬県
長野原町では、道路の付け替え工事や水没する同町内の5地区住民の移転作業などが着々と進められている「現在進行形」のダムだ。
そのため、関連自治体や地元住民には動揺も広がっている。
前原国交相の発言を受け、同県の大沢正明知事は17日、「言語道断で、極めて遺憾」とコメント。ダムの下流にあたる埼玉県の
上田清司知事も「ダムは自民党とではなく、日本国政府と契約した。政府が契約破棄する場合は相当な理由がなければできない」と
怒りが納まらない。
地元住民もまた、発言への対応を加速させており、同町議会は「八ツ場ダム建設事業の継続を求める意見書」を可決した。建設中止
の撤回を求めて発足した「八ツ場ダム推進吾妻(あがつま)住民協議会」は18日、2回目の会合を開いて今後の対応を協議。
前原国交相も、地元の動きは気にかかるようで、「現地に行って色々な話を伺って、どういった補償措置をとるのかが必須の条件となる」
とも述べ、地元住民らと話し合う考えだ。
■見直しで景気後退も
前原国交相は就任会見で、川辺川ダムについても中止を明言。「八ツ場ダムと川辺川ダムは今後の河川行政、公共事業のあり方を
見直していく入り口」と、さらなる公共事業の見直しにまで触れた。
公共事業の見直しは、国交省に限った話ではない。「アニメの殿堂」とも呼ばれ、今年度の補正予算に117億円が盛り込まれた文化庁
の「国立メディア総合芸術センター」。鳩山由紀夫首相は、緊急性や経済性の低い事業に対し、一部予算の執行停止をする基本方針
を固めた。民主党から「無駄遣いの象徴」との批判を浴びた同センターも対象になる可能性がある。
(中略)
ただ、国の公共事業は自公政権だった近年でも削減傾向が続いてきた。景気が冷え込んでいる影響から、民間企業や個人からの工事
の受注が伸び悩む建設業者は少なくない状況で、特に公共事業に頼るところの多い地方の業者にとっては、公共事業の削減がそのまま
死活問題につながってくる。
興味深いデータがある。
民主党中心の政権となった場合、国内総生産(GDP)の実質成長率は、自公による連立政権が継続された場合と比べ、軒並み
落ち込むとの試算が出ているのだ。野村証券金融経済研究所の予測では、民主党中心の政権になれば今年度後半のGDPは0・4%
押し下げるとしており、主要因は公共事業の削減だという。
同研究所の木内登英チーフエコノミストは「短期的には、景気に与える効果はマイナスになる。公共投資に依存していた地方ではより
影響が大きい」といい、長期的な観点でも「削減分を経済効果の大きい景気浮揚策に回していければ、公共事業削減の効果があった
とはいえますが…。子ども手当など子育て支援策が国民生活の向上にどうつながるかも、明確に示す必要がある」と指摘する。
(以下略。全文はソース元でどうぞ)
ソース(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090922/trd0909221801008-n1.htm