高度な論理を駆使する日本の本格ミステリー小説が近年アジア各国でファンを増やし、
台湾では日本の作家、島田荘司さん(60)の名を冠した新人賞が創設された。
今月4日に台北での受賞者発表を終えて帰国した島田さんは
「応募作の水準は高く、日本の書き手にも刺激になるはず」と語る。
「文章力までは分からないけれど、本格ミステリーで重要な骨組みの善しあしは
かえってよくわかる。外国人だからできることがあるのでは、と思いました」
「島田荘司推理小説賞」は中国語で書かれた本格ミステリーが対象。
日本のアニメや歌が浸透している台湾では、島田さんの『占星術殺人事件』や
綾辻行人さんらの作品が相次いで翻訳され、ちょっとした本格ミステリーブームが
起こっている。ただ、第一線で活躍する中国語圏のミステリー作家は少ないため、
現地の大手出版社が、抜群の人気を誇る島田さんの名を付けた新人賞を創設することにした。
第1回はプロ作家を含め50を超す応募があり、日本語に翻訳された作品の構造や
あらすじなどを島田さん自ら目を通して受賞作を選んだ。
受賞が決まった寵物先生(ミスター・ペッツ)氏(29)の「虚擬街頭漂流記」は
中国のほか、日本やタイでも翻訳刊行される。「近未来SFとも社会派とも親子の情愛を
描く感動的な人情小説とも読めるクリエーティブな作品。台湾は出版マーケットが
小さいだけに、あるゆるジャンルの人たちがチャンスを求めて応募してくる面白さがあった」
と振り返る。
中国、韓国、インド、タイなどアジア各国のミステリー作品を邦訳し刊行する
「アジア本格リーグ・全6巻」(講談社)でも選者を務めなど、海外の才能発掘に余念がない。
「全く違うDNAから書かれていて、思わずはっとさせられる切り口が多い。
各国の作家や編集者が交流できる場も作りたいですね」(海老沢類)
ソース:日本のミステリー、アジアで拡大 台湾で「島田荘司推理小説賞」創設
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/090921/bks0909210739000-n1.htm (2009.9.21 07:39)