核戦争に備えた地下司令部
核戦争に備えて作られた秘密の地下司令部が、イギリスで一般公開されています。
冷戦時代の1950年代、この国は各地に、地下施設を作りました。
米国とソ連の間で核戦争が勃発したら、真っ先に戦場となるのが西ヨーロッパだからです。
冷戦が終わった今、非常用の地下司令部は不要となり、一般公開されました。
先日、その中の一つに行ってきました。
場所は、ロンドンから北に車で一時間くらい行った、田舎町の外れです。
現地へ行ってみると、のどかな田園風景が広がっています。
何しろ核戦争に備えた秘密の施設です、目立たない所にあるのです。
ただし、小高い丘の上に鉄塔が立っています。
十階建てのビルと同じくらいの高さでしょうか。これは通信用のアンテナです。
核戦争が始まったら、これを使って同盟国と連絡を取り合う手筈になっていたのです。
アンテナの下は、地下三階まで広がる軍事施設です。入り口は丘の中腹にあります。
一見すると何の変哲もない平屋の建物です。しかし、一歩足を踏み入れてみると、そこは巨大な核シェルター。
冷たいコンクリートの壁に仕切られた空間には、あらゆる設備が整っています。
軍事司令室はもちろんのこと、ラジオ放送のスタジオ、負傷者を収容する病院、発電や空調の設備、
そして地下生活のための寝室やバスルームがあります。百名くらいは余裕で収容できそうな規模です。
通信機器は、どれも数十年前のモデルです。今では使い物になりませんが、当時は最先端だったのでしょう。
こんな軍事施設の存在、冷戦中はトップシークレットでした。近くに住む住民も、全く想像していなかったことでしょう。
◆イギリスを訪れる機会があったら、ぜひ見学に行ってみてください。このような地下司令部、他の地方にもあります。
六年ほど前ですが筆者は、イギリス中西部にある施設も見学に行っています。
リバプールとバーミンガムの中間に位置する、ナトウィックという村にある施設です。
ここの様子も、今回行ってきた所と似ていました。
田園風景の中に平屋の建物と高いアンテナが立っており、その下には、地下二階の軍事施設が広がっていました。
ところで秘密の地下司令部は、今はもう、どこにも存在しないのでしょうか。
一般公開されているのは、古くなって不要になった施設です。
今はどこか他の所に、最先端のハイテク機材を備えた施設が眠っているのかもしれません。
◆画像:ロンドン北の旧核施設の様子(勝間田弘氏ホームページより)
http://www.zaikei.co.jp/files/general/2009081916273331.jpg http://www.zaikei.co.jp/files/general/2009081916273354.jpg ■ソース:財経新聞 2009年08月19日 16:21更新
http://www.zaikei.co.jp/article/biznews/090819/40016.html 依頼を受けて立てました。
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http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1249616210/304 ==筆者紹介==============
勝間田 弘
ブリストル大学(英国)政治学部
リサーチアソシエート
国際政治学博士
Hiro KATSUMATA, PhD
Research Associate
Department of Politics
The University of Bristol, UK
http://www.bristol.ac.uk/politics/ 1999年、上智大学で国際関係論修士号を取得。
2001年、シンガポール国立大学留学。2003年、イギリス、バーミンガム大学に博士論文を提出。
同年5月から、南洋工科大学(シンガポール)ラジャラトナム国際学院(防衛・戦略問題研究所)に勤務。
2007年11月から現職。専門分野は、アジア太平洋地域の政治・安全保障協力、東南アジアの外交文化、
および国際関係論の構成主義。2006年、自由民主党「外交論文コンテスト」最優秀賞受賞。英語検定一級。1970年生まれ。