日本政府は米国債の放棄を、無策なら1ドル=50円も−三國陽夫氏
12月24日(ブルームバーグ):日本政府は外貨準備で保有している米国債の一部を放棄し、
米国経済の再建を支援すべきだ−。格付け会社、三國事務所の三國陽夫代表は18日の
インタビューで、日本が来年春頃までに思い切った債権放棄に踏み切らない場合、
1ドル=50円程度まで円高・ドル安が進みかねないとの見解を示した。
三國氏(69)は、「世界の歴史に照らせば、2国間に発生した巨額の債権・債務は決済され
ない」と述べた。債務国が消費抑制と輸出振興で返済の元手を稼ごうとすると、債権国は輸出が
減って稼働率が低下するため、両国とも持続可能性が危ぶまれるほど景気が悪化する恐れが
あると解説。「両国にとって、決済するメリットはない。日本は結局、債権放棄するしかない」と語った。
対米債権の放棄では、「世界最大の債権国である日本が先鞭をつけ、多国間協議への道をひらく
べきだ」と、三國氏は話す。日本の外貨準備高は約1兆ドルと、首位の中国(約1兆9000億ドル)を
下回る。ただ、民間部門の対外資産が多いため、官民合わせた対外債権は、中国より「はるかに
多い」約630兆円に及ぶと推計。政府が保有する米国債の一部放棄は可能だと主張した。
三國氏は、経済情勢が混乱した時の債権放棄は「歴史上、巨大な債権国の宿命でもある」と
指摘した。
日本政府が債権放棄に踏み切れない場合、三國氏は「為替市場がドル安によって、米国債の
評価を引き下げる」と読む。政策対応がなければ、「1ドル=50円−60円まで円高・ドル安が進む」
と試算。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&refer=jp_news_index&sid=aI0JOhgP0TQI