農林水産省の職員で作る「全農林労働組合」幹部の兼任問題で、
新たに全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)でも少なくとも2人の全農林幹部が役員を兼任して、
報酬を受け取っていたことが20日、わかった。
国家公務員法では役職員を兼任して報酬を受け取る場合は大臣などの許可が必要と定めているが、
2人は許可を取っていなかった。
過去10年間に全労済の役職員を務めた全農林幹部が140人を超えることも同省の調査で判明、
ほかにも同法に違反するケースがあるとみて確認を急いでいる。
全農林を巡っては、北海道労働金庫(札幌市)など全国の4労働金庫で同法に違反する兼任が確認されており、
同省は、労働関係団体との兼任が常態化していた恐れがあるとして全職員を対象に兼業調査を始めた。
全労済の下部組織「石川県勤労者共済生活協同組合」(金沢市)では1999年7月〜昨年7月、
当時、全農林北陸地方本部委員長だった男性が役員を務め、2005年6月まで報酬を受け取っていた。
全労済は報酬額を明らかにしていない。
岐阜県の下部組織でも、全農林岐阜分会の委員長を務める男性が02年9月〜06年8月、役員を兼任し、
このうち05年6月までの2年10か月間、報酬として計36万円を受け取っていた。
ともに同法で定められた届け出をしていなかった。また北陸地方本部委員長だった男性は
02年8月まで組合活動に専従する許可を得ておらず、
岐阜分会委員長は今も専従許可を取っていないが、その間も全労済の会合などに出席していた。
同省では先月、労金の役員兼任発覚を受け、全労済について調べた結果、
役職員に就いた職員が少なくとも140人に上ることが判明。
報酬や許可の有無の確認を進めている。労金や全労済以外にも違法な兼務がないか、
他団体・企業にも対象を広げて調べ、違反が確認されれば処分する。
全労済広報室は「役員が農水省職員かどうかは個人情報なので答えられない。
国家公務員法に抵触する兼任ではないかとの指摘だが、
自分たちが見解を出す必要はないと考えている」とコメントしている。
全農林労働組合の花村靖書記長は「農水省の調査中でコメントできない」としている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090621-00000044-yom-soci