出版社「宝島社」(東京都)は、6年前に買い取って以降、観光客の立ち入りを禁止していた長野原町
北軽井沢の「照月湖」について、先月から有料で一般開放を始めた。かつては北軽の観光スポットとして
知られていただけに、地元では開放を求める声が強かった。取得当初は同社が町に観光情報からの
削除を求めたことも話題になったが、一般開放を受け、町は「再び町全体の資源になった」として近く
ホームページ(HP)などに観光地として再掲載する予定だ。
照月湖は、1930年頃に造られた周囲1・5キロ程の人工湖で、フナなどの釣りや初夏のホタルが
楽しめるほか、詩人・谷川俊太郎さんら多くの文化人が過ごしたことでも知られる。
同社によると、2003年、同社は社員の保養所にするため、地元の観光業者から一帯を買い取ったが、
自然環境が荒れており、「私有地で危険があっても困る」と立ち入りを禁止したという。
一方、当時、町は「重要な観光資源なので今まで通り開放を」と要請したが、認められず、同社側の
要請で観光パンフレットなどから照月湖の情報を削除した。
その後、同社は一帯を牧場として整備するとともに、森の間伐や遊歩道の設置などを進め、2年前からは、
馬術競技「エンデュランス」の全国大会会場として使用。馬術大会では公道も使うことから、同社と町や
地元観光協会の間で調整が行われる中で、改めて地元から照月湖について要望が出されたという。
要望を受け、同社は今年5月1日から観光客への開放(入園料一般500円など)を始めた。今月12日には、
一帯の象徴として「金の馬像」を牧場前に建立し、エンデュランス競技の振興・普及拠点としてPRしている。
同社の蓮見清一社長は取材に対し、「自然環境をよくするために閉鎖していたが、観光資源として大きく、
地元の振興にもつながると考えた。馬を見たり、散策したりして、あるがままの自然を楽しんでほしい」と話した。
また、町産業経済課は「有料とはいえ、前進した。HPのほか、年度内に作成する観光パンフレットにも
記載したい」としている。
◆画像
観光客への開放が再開した照月湖。正面奥は浅間山(12日、長野原町北軽井沢で)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20090616-268614-1-L.jpg http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20090616-OYT8T00326.htm 読売新聞(
http://www.yomiuri.co.jp/index.htm)2009年6月16日