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>>1からのつずき)
当然、北側は危機感を高める。「お国入り」を繰り返し、有権者からも「小さな祭り
なのに北側さんがあいさつに来ていた。今までなかったのに」と驚きで迎えられている。
こちらは防戦一方だ。
実は、共産党大阪府委員会は、自民党や公明党の支持層を直接取りこもうと戦略を
描いている。商店街や農業関係者で、従来の自民支持層に直接働きかける積極策だ。
同党府委員会の幹部は強気だ。「自公政権は打算と野合の結果。定額給付金は選挙買収だ」
公明党代表の太田昭宏の地元、東京12区(北区、足立区の一部)でも変化がある。
ここは、民主党代表の小沢一郎が岩手4区から「国替え」するのではないかと話題に
なった選挙区だが、いまだ民主党が候補者を擁立していないことが、奇妙な構図を
作り出した。自民党が公明党配慮で候補者を擁立しないため、このままなら
「公明党対共産党」の一騎打ちになるからだ。
共産党新人の池内沙織の戦略は「公明党批判」一色だ。主戦場は、選挙区内に
約2万2000戸ある都営住宅。ここで、公明支持層を切り崩そうとする。
比較的所得が低く高齢者も多い都営住宅。ここには創価学会員も多いという。
陣営は一軒一軒回って、生活への不満を聞き出す。
池内陣営の自信はこんな言葉にも表れる。
「公明党は与党だから相談しても、らちが明かないこともある。おかげさまで
共産党は『最後の受け皿』といわれてます」
共産党は民主党支持層にも手を伸ばす。
「民主党の福祉や中小企業支援策は結局は自民党と同じ。そういう不満を
持っている人が共産党支持に来る」。陣営幹部はそう話す。
大阪の北側と同じく、太田陣営の危機感も強い。「北区、板橋区で中選挙区制だった
ときは自民、公明、共産3党で議席を分け合っていた。もともと共産党に票がある」
拓殖大海外事情研究所の助教、丹羽文生は「2つの政党は、困った人に熱心に手を
差しのべることが共通点」と解説する。そして付け加えた。
「だが、皮肉なことに、両党とも自民党を利する点でも共通している。公明党は連立を
組むことで自民党を助け、共産党は野党票を分散させることで自民党を助けている」
=敬称略(勝田康三、安岡一成)
(をはり)
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データBOX 公明党と共産党の政党支持率は、報道各社の世論調査で、
ともに2〜4%を行き来し、ほぼ変わらない。4月25、26両日に実施した
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、
支持率は公明党が3・0%、共産党が2・9%とその差はわずか0・1ポイント。
麻生政権発足以降の7回の調査では、2月に一度、共産党が公明党を上回った以外は、
公明党が共産党を制した。
ただ、昨年暮れから共産党ブームがいわれると、公明党幹部は「ピリピリ」。
支持率の上下に一喜一憂したとか。