【ロンドン=木村正人】金融サミットで採択された首脳宣言で、脱税の温床になっているタックスヘイブン
(租税回避地)の最新版“ブラックリスト”の公表が決まった。北朝鮮の資金洗浄にも使われたマカオや香
港を擁する中国の反対で交渉は当初難航したが、欧米の主要国は脱税摘発を進めるにはリストの公表
は不可欠として押し切った。
ブラウン英首相は2日、会合後の記者会見で「タックスヘイブンの息の根を止めることでG20は合意した」
と述べ、同日中にリストを公表すると表明した。
今回のサミットでは経済協力開発機構(OECD)が作成した最新版リストをもとに、タックスヘイブンを
(1)税務情報の交換に協力的でない
(2)OECDルールに従う用意がある−など3段階に分類。非協力的な国や地域には制裁を科すことで
合意した。リストについてはG20が発表する形は取らず、OECDが公表する。
リスト公表を強く求めたのはサルコジ仏大統領だ。ラガルド仏経済・財政・雇用相は英BBC放送に対し、
タックスヘイブンなどの金融規制に進展がなければ同大統領は金融サミットを退席すると述べていた。
複数の交渉筋によると、OECDのトレビニョ事務総長が最新版リストをひそかに議長国・英国に提示。
サルコジ大統領は同リストの公表を要求していた。
OECDは、銀行の守秘義務をタテに顧客の税務情報の交換を拒絶してきたスイスなどについて、「銀行
情報のアクセスに大幅な規制を課す国」という新分類を設け、リストに掲載することを検討。
独仏もこれを後押ししており、首脳宣言の最終草案にも「2日にリストを公表する」と、いったん明記された。
しかし、OECD未加盟の中国の反対で交渉は難航した。
中国の経済成長に伴い金融業が拡大した特別行政区のマカオや香港は、マカオの銀行バンコ・デルタ・
アジアに北朝鮮の金正日総書記の関連資産が預けられていたことから、資金洗浄の温床になっていると国
際的な批判を浴びた。
中国は今年2月以降、マカオや香港についてOECDルールに基づき税務情報の交換に応じる姿勢に転
じたため、金融サミットでも「マカオと香港はタックスヘイブンではない」と強硬に主張していた。
2009.4.3 01:04 MSN産経
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090403/fnc0904030105001-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090403/fnc0904030105001-n2.htm