国民生活センター(東京)は、馬券予想ソフトを販売するマイクロシステムテクノロジー(東京都中央区)を
「実質的なマルチ取引にあたる」として、社名を公表し、問題の多い勧誘に注意を呼び掛けた。特定商取引法(特商法)の
厳しい規制を避けるために、同社は約九十三万円のソフトの販売と、マルチ取引の説明を二段階に分け
「マルチ取引には当たらない」と主張していた。 (安藤明夫)
千葉県の二十代の会社員は昨年二月、友人からの誘いを受けて店で飲食中、現れた友人の仲間からマ社の
馬券予想ソフト「錬金王」の利点の説明を受けた。「五万円の資金で三百万円になる」「ギャンブルではなく投資」と勧誘された。
ソフトは九十三万円と高額で、会社員はためらったが「消費者金融で借りれば大丈夫」とリストを見せられ、断り切れずに契約した。
しかし、ソフトの指示通りにインターネットのオンラインで馬券を買っても、ほとんど当たらない。友人に苦情を言うと
「他の人にこのソフトを販売すると六万円の紹介料がもらえ、三人目からは九万円になる」と、マルチ取引の仕組みを説明された。
国民生活センターのネット相談には、二〇〇六年から今年一月末までに、同社に関する相談が百五十七件寄せられた。
契約者の多くは若い男性で、競馬をやったことのない人も多かった。勧誘時に消費者金融の利用を勧めたり、
実際にありえない的中率を誇示するなど問題が目立った。
契約した後にマルチ取引の説明をする二段階の手法について、経済産業省が検討した結果
「特定利益(紹介料など)の説明を故意に契約後に告知しているにすぎず、特商法の定める連鎖販売取引に該当する」と判断した。
「必ずもうかる」といううその説明や契約書がないこと、連鎖販売についての重要事項を説明していないことも、すべて同法違反になる。
経産省の判断に先立ち、東京都は昨年十一月、訪問販売法に基づき同社に「不適切な取引行為を行っていた」として、
新規勧誘などの三カ月の業務停止を命じた。以後、同社は勧誘活動をしていない様子だが、国民生活センターでは
「同様の手法が疑われる業者も数社出てきており、広がる恐れがある」と警告。
若者たちが新生活を始める四月を前に
▽友人など親しい人からの勧めでも、もうけ話を安易に信用しない
▽借金をしてまでもうけ話に乗らない
▽契約をした場合は早めに消費生活センターに相談を−
と呼び掛けている。
記事元:新手のマルチ取引に注意(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2009031202000076.html 関連資料:
株式会社マイクロシステムテクノロジー
http://www.mstworld.co.jp/ 報道発表資料 [2008年11月掲載]
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/11/20ibi400.htm http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/11/20ibi403.htm